1987(昭和62年)/11/14公開 107分 カラー ビスタ 映倫番号:112414 R15+
配給:東映 製作:東映
「愛のごとく」「ひとひらの雪」「化身」と続いた渡辺淳一“愛の三部作”の集大成といえる作品。
妻・三田佳子、夫・津川雅彦。これ以上の適役はいない二人が、お互いに愛人を持つ中年夫婦間の虚々実々の心理合戦を演じている。
大手病院で整形外科医長を勤める修平は42歳の男盛り。修平には葉子という人妻の愛人がいた。38歳ながら美しい妻・房子に対する後ろめたさはあったが、葉子との関係は生活の一部でしかなかった。
ある夜偶然若い男からの電話を受けた修平は、妻に疑念を抱く。房子が帰宅したのは深夜近く。少し酒も入りとても楽しそうであった。その日以来心中穏やかでない修平は、ついに決定的な事実を目撃してしまう。房子が深夜、若い男に車で送られてきたのだ。別れ際にその男を見上げた房子の顔はハッとするほど美しかった。
一方、修平も札幌のホテルで葉子と過ごしているところを電話で房子に突き止められる。二人の間でお互いに対する疑念は成長し、家庭の中は冷戦状態に…。それは自らを保身する争いでもあった。夫と妻は一つ屋根の下で同じことを考えていた。「自分たちはこの先どう歩んでいくのだろうか」と。