1991(平成3年)/1/26公開 123分 カラー ビスタ 映倫番号:113347
配給:東映 製作:トーメン
幕末の商傑・中居屋重兵衛の半生をダイナミックに描いた”幕末ビッグ・ロマン”。黒船到来から桜田門外の変に至る波乱の時代を積極果敢な天才商人として生きる重兵衛の姿を通して、日本開国に一大貢献をなした偉大な男の生きざまを感動的に捉えた時代劇大作。
上州の郷土出身の中居撰之助は、商人の道を歩みながら佐久間象山の門に学び、火薬、砲術、医学、語学等の学問に秀いで、その秀才ぶりは同門の旗本・勝麟太郎(後の海舟)も一目置くほどであった。
撰之助の目標とするものは世界を相手の貿易商である。日本橋の店をたたんで横浜進出したのを機に名を中居屋重兵衛と改めた撰之助は、外国商館に引けを取らない豪壮な洋館の建築に取りかかった。この館を世界の貿易商の社交場にし、外国との取引の拠点にしようという構想である。
そして「館」が完成した。銅瓦がまぶしい豪華な二階建て“銅御殿”は内外の評判を呼んだ。横浜での初仕事となるイギリス商館との生糸取引を成功させた重兵衛にとって誇らしい出来事であった。
だが、時は安政六(1859)年、幕閣の恐怖政治が始まっていた。大老・井伊直弼による「安政の大獄」である。攘夷の嵐が吹き荒れる中、幕府の横浜への弾圧は厳しさを増し、商人たちが大打撃を受ける日は目前に迫っていた。
やがて起こる、万延元年三月三日、桜田門外の井伊大老襲撃事件。水戸烈士たちを陰から支援する決意に出たのも、開国目本と自由貿易を信じ続けた中居重兵衛の天命による行動だった。