2002(平成14年)/6/15公開 108分 カラー ビスタ 映倫番号:116388
配給:東映 製作:「陽はまた昇る」製作委員会
家庭用VTRの黎明期、βマックス圧倒的有利の下馬評を覆し、遂には世界標準規格に上り詰めたVHS誕生までの秘話。当時の家電業界を克明に記したルポルタージュとして高い評価を得る、佐藤正明著「映像メディアの世紀 ビデオ・男たちの産業史」(日経BP刊/文春文庫)を原作に、本作が初監督作となる佐々部清が、リストラ寸前の男たちが夢に賭け、戦い続ける姿を等身大で描き出す。今回の映画化では、実在の家電メーカーを実名で登場させることが最重要課題のひとつであったが、企業の壁を越え、それが実現できたことは、日本映画界にとって大きな一歩と言える。
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日本ビクター本社に勤務する開発技師・加賀谷静男に横浜工場ビデオ事業部への異動命令が下る。部長職に就くと一年で馘が飛ぶと言われる非採算部門である。ビデオ事業部員の人員削減、それが加賀谷に課せられた社命であった。加賀谷は自らの夢を従業員に打ち明けた。「今に、必ず家庭用VTRの時代が来る。まだどこも製品化できていないこの商品を我々が創る。自分達の職場は自分達で守ろう!」無謀と感じながらも加賀谷の言葉は彼らの胸に熱く響いた。開発プロジェクトチームに選ばれた者は昼夜を問わず商品開発に没頭、ビデオ事業部次長の大久保修は、加賀谷に抵抗を感じながらも偽りの事業計画を立て本社へのカムフラージュと資金調達に奔走、残りの者は慣れない営業の仕事に汗し、既存の業務用VTRを売り歩いた。夢に向かって歩く、その想いだけが彼らを奮い立たせていた。そして試作機は完成した。後はこの夢の結晶を世に送り出すだけだ。ユーザーの為、互換性を最重要課題としていた加賀谷は周囲の反対を押し切って、心血を注いだ試作機の情報を各メーカーに惜しみなく公開するという大胆な行動に打って出た。しかし、先行販売されたソニーのβマックスは順調に普及し、通産省も国内統一規格としての調整に乗り出す。万策尽き、絶望の淵にあった加賀谷に、大久保が大阪行きを提案する。そこには日本家電業界の父・松下幸之助がいる。プロジェクトチームが希望を託した試作機の名称はVHS。果たして二人は松下をVHS陣営に参加させられるのか?