1951(昭和26年)/4/14公開 85分 モノクロ スタンダード 映倫番号:390
配給:東映 製作:昭映プロ
豪雨の夜、忽然とマレーから帰って来た謎の男それは国籍を持たない日本人である。灼熱のマレー半島に生と死のすさまじい闘争が展開する。
この物語は、昭和十一年に遡る。貿易商社に勤務していた桜井は、銀座に在るバー「エメラルド」に勤める葉子に夢中になっていた。だがその店でいつも見かける華族くずれの不気味な男、戸張の存在が気になっていた。葉子は戸張を愛していたのだ。だが突然、戸張は姿を消した。太平洋戦争真っ只中の昭和十七年。桜井は謀略部隊の通訳としてマレーにいた。その奥地で、彼は戸張と再会する。戸張は特殊スパイとなり、既に死亡届が提出された無国籍者になっていたのだ。桜井は謀略部隊に関わる仕事をしていくうちに良心を殺してしまい、部下であった下坂を殺して鉱山に隠された金を着服してしまった。だが戸張はこの光景を目撃していた。そして更に時は流れ現在、銀座裏にあるキャバレー「ピジョン」のマスターとなった桜井のもとに、戸張が現れた。桜井は今、あの自分が殺した下阪の妻の春江を情婦にしていたのだ。更に桜井は葉子の妹千夜子を使って、戸張の宝石も井奪おうとしていた。だが、春江は桜井こそが夫を殺した仇であることを知ってしまう。