1953(昭和28年)/2/25公開 112分 モノクロ スタンダード 映倫番号:830
配給:東映 製作:東映
流麗の佐分利演出いよいよ冴える問題の文芸野心作。瓢吉、飛車角、おりん、お袖、黒馬先生など多彩な登場人物の魅力が、必ずや皆様の心を捉える未曾有の超大作。名作の呼び声高き東映秘蔵の巨篇である。
あれから五年の月日が流れた。青成瓢吉は懸賞小説に当選して、小岸照代と若い過ちを繰り返していた。だが傍目には羨望を抱えた彼の境遇も、お袖とは全く違う照代との生活は決して幸せなものではなかった。二人が出かけた伊豆の宿、そこで瓢吉はお袖と偶然再会する。瓢吉に会えた喜びを饒舌に表すお袖を、冷静に眺める瓢吉。二人の関係に気付き、そして自分の惨めさにも気付いた照代は一人瓢吉を残して帰京する。その列車には、丘部と別れたおりんが乗り合わせていた。時は過ぎ、ようやく飛車角が刑期を終えた。吉良常の出迎えを受けた飛車角は、直ぐにおとよの消息を求めた。だがおとよは彼の留守中に、弟分の宮川と別れられない誓いをかわしていた。宮川と飛車角の間に揺れ、やがておとよは姿を消してしまった。ある夜、宮川と飛車角、吉良常、そして瓢吉が杯を酌み交わしていたとき、警察署長となった新海一八の座敷に招かれた。その席で、瓢吉は芸者姿のおりんと再会する。再会を喜び、昔話を語り合う二人。だが、そこには既に甘い追憶の言葉はなかった。そして飛車角は宿命のように男の世界に戻り、瓢吉はアナキスト連盟の検挙に巻き込まれ捕まるも、留置所でお袖と再会する。そして、年老いた吉良常は、瓢吉や飛車角、夏村らに看取られ、この世を去っていった…。
「人生劇場」シリーズ(8)