1954(昭和29年)/3/31公開 95分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1327
配給:東映 製作:東映
御馴染み荒木又右衛門が伊賀上野に河合又五郎以下三十八人を迎え討つ。渡辺数馬の助太刀として仇討を成就させるまで、悲願を込めた発端から「鍵屋の辻」の決闘までの結末を描く。
東海道は春の嵐。飯沼天眞斉門下の三人組が女芸人のお蝶に絡んでいたところを、郡山郷士の荒目又蔵と名乗る旅の侍が絡まれるが、又蔵は逃げの一手を打つばかり。だがこのお蝶、実は「手裏剣お蝶」の異名を取るほどの手練だったから三人組をあっさり撃退。しかもこの又蔵をただの侍ではないと睨んで、ほのかに恋心を抱いてしまう。それもそのはず、この又蔵と名乗る旅侍こそ、三年ぶりに妻お谷の実家である江戸の渡辺靭負邸に赴く途中の剣豪・荒木又右衛門その人だったのだ。その江戸では、嘗てお谷に横恋慕していた靭負の甥の河合又五郎が酒と賭博に身を崩し、無頼の旗本連中と放蕩生活に耽っていて、その行状に妹・およねは胸を痛めていた。江戸に入った又右衛門は恩師・柳生但馬守の元を訪れ、師に代わって道場の代稽古を勤めていた。ある日阿部四郎五郎を首魁とする悪旗本達は飯沼天眞斉の後押しをして但馬守と御前試合をさせて天眞斉を将軍家指南役に仕立てようと企んだ。だが浅草でのいざこざで、お蝶を庇った又右衛門に真剣勝負を挑んだ天眞斉だがあっという間に又右衛門が討ち果たし、この勝負の噂は江戸市中に広まり、お蝶らの旗本と犬猿の中の侠客たちは喜び、旗本は益々殺気だっていった。そんな中、又五郎が借金返済のため名刀正宗を盗もうとし、居合わせた靭負を斬って逃亡する事件が起きた。四郎五郎らは又五郎を匿い、大名相手に一戦を交えようとしていた…。