1954(昭和29年)/3/31公開 53分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1299
配給:東映 製作:東映
長崎奉行たちの謀略にかかって処刑された長崎の豪商の一子・雪太郎が、歌舞伎女形・雪之丞となって仇討ちの機会を狙う。三上於菟吉原作のおなじみの娯楽時代劇をマキノ雅弘が東映スコープで再映画化。大川橋蔵は雪之丞、盗賊・闇太郎、そして雪之丞の父親の三役をひとりで演じ分けている。
江戸八百八町の噂は上方芝居の中村菊之丞の初興行で持ちきりだ。中でも一座の若女形雪之丞の艶姿「お染の七役」の早変わりの人気は最高潮で連日大入り状態。美しく踊る雪之丞の視線は土部三斉と、その取り巻きの海産問屋広海屋と長崎屋の三人に注がれていた。その夜、三斉の娘浪路のたっての願いで土部邸に招かれた雪之丞は、大奥で将軍の寵愛を一身に集めながらも、雪之丞の舞台姿に恋心を寄せる浪路の可憐な姿に胸を押さえるのだった。雪之丞は心の底にある深い誓いを立て、その秘密の心眼を知る独創天心流の開祖脇田一松斉が秘伝の奥義書を授けようとしたのだが、それを逆恨みした門弟の門倉平馬が、土部邸からの帰路で雪之丞を襲撃した。だがそこに現れた怪盗闇太郎の助けもあって、雪之丞は難を逃れ、闇太郎の男気に惚れた雪之丞は彼に大望を打ち明け、闇太郎も協力を約束する。一方雪之丞に邪恋を抱く女賊軽業のお初は、その秘密をかぎつけて雪之丞を脅して、自らの恋を成就しようとする。そして雪之丞を忘れられず、病に伏してしまった浪路のために、三斉は再度雪之丞を招こうとする。雪之丞は、亡き父の遺書を握り締めて土部邸に向かう。
「雪之丞変化」シリーズ(4)