1954(昭和29年)/11/30公開 87分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1567
配給:東映 製作:東映
赤穂浪士討ち入りにまつわる数々のエピソードの中から、“徳利の別れ”として名高い赤垣源蔵を主人公として、意気と友情と恋に彩られた討ち入り前夜を描いた娯楽時代劇。
吉良上野介への刀傷沙汰により浅野家が取り潰されてから一年半。浪士たちが続々と江戸に入り込んできていた。その江戸の伊丹という飲み屋で切り盛りする女将お半を気に入って、二人の武士が通い続けていた。一人は赤穂浪士の来襲に備えて上杉家から吉良邸へ送られた剣客の清水一角。そしてもう一人はその赤穂浪士の一人、赤垣源蔵であった。その源蔵はよく兄の塩山伊左衛門の元に、酒代の無心に訪れていた。これを快く思わない妻のまきは源蔵に辛く当たるが、伊左衛門は源蔵を信じ、まきに内緒で酒代を渡すのであった。その塩山家にはお杉という女中がいるが、彼は源蔵に愛情を覚え始めていた。ある夜、源蔵は伊丹で一角と遭遇する。お互いの素性を知った二人は一触即発の険悪な空気に包まれたが、そこに分けて入ったお半が吐血し空気は流れ、源蔵と一角は剣の道に達するものだけが通じる心で結ばれ始めた。一角はお半の気持ちが源蔵に傾いているのを知り、潔く譲る決心をするのだった。源蔵は吉良邸討ち入りに備え、事前に上野介の姿を伺うことに成功するが、それ以来身辺に刺客の姿が目立つようになった。堀部安兵衛は身を案じ、源蔵に姿を隠すよう勧めたのだが、それ以来、源蔵は伊丹で酔い痴れる姿が目立つようになった。お杉の心痛にも、兄伊左衛門の激憤にも、本心を見せられぬ日々が続き、お半も日に日に病魔に身体を蝕ばまれていく。そして冬が訪れ、討入り決行の日が近づく…。