1955(昭和30年)/3/13公開 94分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1697
配給:東映 製作:東映
時の大老井伊直弼の一子・新納鶴千代の波瀾万丈の物語。父を知らぬ鶴千代の苦悩と恋のために加担する大老襲撃水戸浪士との誓約、桜田門外の乱刃の中にその生命を終えるまでを剣の迫力、愛情とロマンの中に描く傑作篇。戦前発表され、原作はもとより映画、主題歌が大ヒットし一世を風靡した群司次郎正の代表小説を東千代之介主演で映画化。
新納鶴千代は、時の大老・井伊直弼の隠し子であった。だが、芸者であった母の由美が、直弼が彦根藩の家督を継いだ日に自ら身を引いたため、鶴千代は父のことを知らなかった。江戸の一刀流久木龍雲斎の門下として、同門の佐野鉄之助と共に竜虎と謳われるほどの実力を持つ鶴千代。だが、その剣の腕とは似合わない、母に甘え幸せな日々を過ごす美しい青年となっていた。そして鶴千代には加賀前田藩のお馬廻り役吉村左馬之助の娘・八重という恋人がいた。だが、格式高い吉村家は鶴千代と八重の縁談を双親が揃っていないことを理由に拒絶する。あまりに理不尽な言い分に怒る鶴千代だが、その理屈に反駁しない由美や、周囲の人々の反応に、自分の出生に秘密があるのではと疑問を抱くようになった。やがて八重は他家へ嫁ぎ、鶴千代の行状は荒んで師の龍雲斎からも破門された。その夜、鶴千代は鉄之助の妹で八重に瓜二つの芸者・吉次と出会い、二人は急速に親しくなっていった。だが、鶴千代が芸者と結婚することで仕官できず、父・直弼との晴れの対面ができなくなることを恐れた由美は、秘密の一端を明かして吉次との中を諌めようとするも鶴千代は聞かなかった。自らの出生の秘密に益々懐疑する鶴千代。そんな時、彼は倒幕運動の首謀者・皆川を助けたのが縁で大老・井伊直弼の暗殺計画に加わることになる…。