1955(昭和30年)/6/28公開 85分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1844
配給:東映 製作:東映
吉川英治の代表時代小説を市川右太衛門主演で映画化。徳川八代将軍の御世、幕府の天下に熱血の闘志を秘めて決起した虚無僧三百人と、波乱の渦中に巻き込まれる若い男女の悲運な恋を描く激動の時代劇巨編。
時は享保の頃。江戸城から旗本・三輪又之丞邸に向かう花嫁の行列があった。花嫁のお寿々は兄である関根嘯々の密命を受けて大奥に入り、召使いの音羽の協力により「虚無僧御諚目」を盗み出して鞠の中に隠したのだが、江戸城から持ち出すために、許婚の旗屋小五郎との結婚をあきらめ、将軍吉宗の息のかかった又之丞に嫁ぐことで持ち出そうと試みたのだ。三々九度の式が始まろうとした時、突然飛び込んできたのは旗屋小五郎。花嫁お寿々を奪い去ろうとすると又之丞が切り込む。その勢いで出窓からお寿々は隅田川に落ちてしまう。混乱の中で、鞠を持って逃れようとした音羽は又之丞に斬られ、小五郎は切り抜けて大川に飛び込んだ。やがて母鴫野のもとに辿り着き、母子二人で甲州乙黒の大法寺へと逃れることに。だが又之丞達の追手が迫るも、虚無僧姿の関根嘯々が現れ、逃亡に成功する。吉宗は小五郎を極刑にせよと又之丞へ命じ、老中松平伊豆守は「御諚目」が奪われたことを知り、大目付多門伝四郎に探索を命じた。この「御諚目」とは、浪人取締りのため普化寺に十二か条の特権を与えるものであったが、今や弾圧に変った幕府の失政を正さんがために嘯々は利用しようとしていたのだ。「御諚目」が鞠の中に隠されたことを知った多門は又之丞らに奪還を命じ、ここに嘯々・小五郎らと伝四郎・又之丞らの争奪戦が始まる・・・。