1957(昭和32年)/5/28公開 88分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10200
配給:東映 製作:東映
出羽六郷藩の陰謀に操られた江戸の船頭・弥太は若君義光と瓜二つ。偽者、本物二人の若君が江戸を離れて混線道中。恋と剣が絡む大川橋蔵二役の爽快篇。
日頃聡明の聞こえも高い、出羽六郷藩の若殿・義光が江戸屋敷内で何者とも知れず毒殺された。一方、隅田河畔の船宿「船芳」で棹を握る船頭・弥太は滅法いい男。同じ土地の梅香とは相思相愛の仲だが、会えば必ず口喧嘩で、これには船頭仲間の勘十も匙を投げる次第。そんな梅香にも悩みがあった。病気の母の唯一の薬は高麗人参だが、金がなくて手に入らない。義光と瓜二つの弥太は、急死した義光の替え玉役を一日一両でやらないか、と持ちかけられ引き受ける。弥太は梅香に高麗人参のための金を渡し、屋敷にこもり若殿修行に身を投じた。やがて一通りの行儀作法を身につけた殿様弥太は国表への道中に踏み出した。無事国表に着いた偽若殿は、大殿・乗正公の目はごまかせたものの、義光の許婚の琴姫にはその不自然さを感づかれていた。一方、吾妻橋の近くで弥太を見かけた梅香に横恋慕している貸元・秀五郎は、嫉妬心から弥太に斬りつけたが、この弥太が姿に似合わぬ侍言葉、その上滅法腕が立ち散々な目に合わされる。それもそのはず、江戸家老・金沢権太夫と側室・お蘭の方一派の悪謀を気づいた若殿・義光が国家老・秋田三左衛門と図っての町人姿であった。二人弥太の出現に首を傾ける梅香と勘十。春浅いみちのくの道に混線道中は続く。やがて恒例の端午の節句が繰り広げられ、そこで義光に不気味な殺気が迫っていく。最高潮の酔舞乱舞。そこに白刃がひらめき義光に迫る・・・