1957(昭和32年)/7/9公開 57分 モノクロ スタンダード 映倫番号:10246-2
配給:東映 製作:東映
万人に知られている赤穂義士四十七人の中でも、快男児の誉れも高い神崎与五郎。その少年時代から、快挙の陰に咲き香る肉親愛を涙で綴る浪曲時代劇。
播州赤穂の相生郡小百姓・彌作の倅・彌吉少年は鯉を巡って郡奉行・神崎与左衛門の若様・余一を誤って殺してしまった。だが、侍として神崎家を継ぐ器量を持っていると見込まれた彌吉は、奉行の手討ちを免れ、立派な侍に成長していた。感激にむせび泣く彌作と彌吉に淡い想いを寄せている名主・惣右衛門の娘・喜久に別れを告げ、赤穂の城へと向かう彌吉少年は名も神崎与五郎と改めていた。それから幾年、内匠頭の刀傷によりお家断絶、赤穂の城も閉門、そして主の仇・吉良を狙う同志はわずか五十数名、連判状には神崎与五郎の名も連なっていた。蜂起を秘めて相生郡に帰郷した与五郎は、村中総出で迎えられた。惣右衛門は与五郎に喜久との縁談を申し込んだが、喜久には横恋慕する村総代・七太夫の息子・七之助がつきまとっていた。与五郎は一度は喜久を心の妻と決めたものの、吉良討ち入りの宿願を目前に控える大事の身でもあり断った。かなわぬ想いを抱えた喜久は、ただただ泣きくずれるばかりである。鎮守の森の盆踊りの夜、与五郎は同志・早野勘兵衛の連絡により急遽江戸に立ち向かうことになった。これが永劫の別れとは夢にも知らぬ彌作の前に突然現れたのが七太夫だった。息子・七之助の腹いせもあり、与五郎一味の秘密に勘付いていた七太夫は、無理矢理袱紗を奪い取り、与五郎告訴の賞金五十両を目当てに飛び出した。彌作は事ここに至っては、と七太夫を鉄砲で撃ち殺してしまう・・・。