1958(昭和33年)/5/20公開 86分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10671
配給:東映 製作:東映
悪行の限りを尽くす土地の悪貸元にたてついたため、故郷を追われた板前の勘太郎がやくざとなって2年。村民の為正義の長脇差を振う東千代之介颯爽の股旅篇。
伊那一帯に縄張りをもち、暴威をふるう重兵衛一家は祭を種に金をゆすり、はては乱暴のかぎりをつくしていた。今日も、とある荒物屋で重兵衛の乾分ら三、四人が暴れまわっていたのを、手をなく追っ払った蔦屋の板前の勘太郎。勘太郎には庄吉という幼友達があり、庄吉には許婚者おしんがいた。しかし、おしんは勘太郎にほのかな想いを寄せていた。ある日、勘太郎はおしんから、庄吉が二人の仲を邪推して家財を持ち出し賭博にふけっている事を聞いた。勘太郎は単身重兵衛の賭場に乗込んだ。こともあろうに、庄吉は賭けに敗けて、おしんの小作地まで賭けた。見兼ねた勘太郎は、庄吉の代りに自分の体を張って、重兵衛に勝負を挑んだ。緊張の一瞬。サイコロの目は勘太郎の勝と出た。しかし卑怯な重兵衛はいきなり勘太郎に斬りつけた。多勢に無勢、勘太郎は簀巻にされ、岩をかむ激流の天竜川に投げ込まれてしまった。その時、天竜川下りの舟に江戸は浅草一帯の親分今戸の富五郎と娘おせいが乗っていて、勘太郎の簀巻をみつけた。時は流れて富五郎父娘に助けられた勘太郎はその器量を買われ、今は一家の兄貴分。しかし想いを故郷伊那で庄吉と暮しているおしんの上に駈せるのだった。ある日、伊那で顔馴染みだったおぎんから、庄吉が賭博に身を持ち崩し、田畑はもちろん、女房のおしんまでも重兵衛に狙われているという事を聞いた。置手紙を残して勘太郎は伊那に駈けつけた・・・。