1959(昭和34年)/4/21公開 88分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11223
配給:東映 製作:東映
「旅笠道中」を放って好評を拍した大川橋蔵が一年ぶりに颯爽旅鴉草間の半次郎に扮して、やくざの意気と哀歓を詩情豊かに謳う股旅映画の決定版。
和田峠、西山麓の街道を足早に行く旅鴉は、草間の半次郎だ。半次郎は和田山の貸し元金平の家に草鞋を脱いだが、半次郎に恨みを持つ次郎太郎一家は、半次郎の後を追い甲州屋勘八の家に草鞋を脱いだ。この勘八と金平とは兄弟分の仲だが、勘八は勝気で美しい金平の娘おもんに横恋慕して、金平の縄張りを狙うのだった。次郎太郎一家の藤五郎と宗太は半次郎を呼び出したが、半次郎には全く刃が立たない。「まっとうな道を歩め」颯爽と藤五郎らに啖呵を切る半次郎を惚れ惚れとした目で見るおもん。おもんは半次郎を追って家を出た。勘八はおもんに逃げられた腹いせに金平を斬り、縄張りを手中に収めほくそえんだ。おもんの妹お藤は勘八からの借金のために遊女に売られ、その姿に驚いた半次郎は後を追わんとするが、次郎太郎一家の長脇差が阻む。半次郎の刀が血煙を上げたが、一瞬遅く半次郎の目の前でお藤は川へ身を投げた。父を斬られ妹を奪われたおもんは勘八に果たし状を突きつけ、子分の政吉と決闘の場所、弥陀ヶ原に現れた。死を覚悟して復讐の匕首をふるうおもんだったが、多勢に無勢、次第に斬りたてられて危機が迫る。その時、三度笠を目深にかぶった旅鴉が一人、すっくと勘八の前に立ちはだかった。半次郎だ。「浮世あぶれた草間の半次郎、おてんとさまの真下で、一代かけての勝負をするぜ」啖呵と共に半次郎怒髪の長脇差が弥陀ヶ原の川風を裂いて勘八一家を叩き斬る・・・