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野狐笛 花吹雪一番纏

Wild of Foxes

1960(昭和35年)/1/21公開 76分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11456 
配給:東映 製作:東映

火事と喧嘩の華が咲く江戸八百八丁の町火消・野狐三次が、悪旗本を向こうに廻して男意気地の鉄火肌で暴れまわるという、東千代之介の颯爽とした魅力が光る痛快作。

野狐笛 花吹雪一番纏
(C)東映

ストーリー

男が好くて喧嘩好き、大工稼業の暴れん坊三次は、ぐれた性根でたった一人の母親を泣かせ、死んだ親父宗七のよしみをもって町火消「に組」の初五郎に引きとられた。
三次には、呉服屋秋田屋作兵衛の一人娘でおきぬと云う幼なじみがあったが権力をかさに着る旗本尾形玄蕃との縁談を耳にした矢先、旗本火消しの計画的なユスリをあばいて大立回り。だが、尾形ひいきの関取相馬山と赤鞘組まで相手どっては勝味がない。
その夜、袋だたきにあって「に組」にかつぎ込まれた三次は、初五郎から意外なことを聞かされる。三次は、古ぼけたうちかけと、薄の中を走る野狐を銀で象嵌した横笛といっしょに、浅草の観音前で宗七夫婦に拾い上げられた捨子だったと云う。
養母の愛情にほだされ、目ざめ、今までの親不幸を心で詫びて、その日から三次の性根に一本筋金が入った。
三次の背中に笛と同じ野狐の刺青がはね上って、まじめな火消し修業が始まった。
大相撲を明日にひかえた夜、「に組」ひいきの両国関と、三次の幼友達で遊び人新吉の二人が、赤鞘組に因縁をつけられ浅茅ケ原で大喧嘩となる。
一度は堅気を誓った三次も、「に組」の初五郎にせかされて、浅茅ケ原に向い友人二人を救い出す。
明けて横綱稲妻雷五郎の激励を受けた両国関は、卑怯な禁じ手にもひるまず、見事相馬山を降したが、その時市中で火の手が上る。
火事場で激突する町火消「に組」と、弁慶、子坊主ら定火消の一隊、その混乱の中で「に組」の消火を邪魔だてする千坊主を、野狐三次が鳶口で打ち倒した。
三次は町奉行筒井伊賀守に曳かれていった。
理由はどうあれ、町火消の身で、旗本召抱えの定火消を殺めたとあっては、死罪も当然だが、あれから幾日、奉行所で伊賀守直々の取調べを受けた三次は、何故かそのまま帰ってきた。
ひとり伊賀守が三次の持つ野狐笛と一対の金笛を胸に温めていることを三次は知る由もない。
三次の無罪を尾形一味がだまって見ているわけがない。早速陰謀の網が張られる。
三次をおびき寄せるために、おきぬが囮に捕われた。三次の命を奪うだけではない。秋田屋を襲い、金を奪って火を放ち、火消しを卒いて証拠を隠滅し、三次を下手人に仕立てようという腹である。
その夜、三次はおきぬを救うため、尾形邸に忍び込み、休の自由を奪われて、おきぬと二人地下室で水攻めにあう。二人を救い出してくれたのは、新吉と両国関だった。
一方、秋田屋作兵衛の身に危機がせまり、一味の計略通り火の手が上る。
「に組」の一家が勢揃いした。火事場を中にして、鳶口と刀の対戦だ。
「俺達は火消しだ、火を消すんだ…」
初五郎の絶叫に応えて、野狐三次が纒をつかみ、玄蕃の刃と火の粉をくぐって猿のように屋根にかけ上る。その時、「静まれッ」という筒井伊賀守の大音声が聞えた。あわてて逃げ出す玄蕃に捕繩がからみつく。紅蓮の焔と闘う三次の顔に莞爾と笑いが浮かんだ。

野狐笛 花吹雪一番纏
(C)東映
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