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あらくれ大名 

Rough-Looking Lord

1960(昭和35年)/2/14公開 92分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11582 
配給:東映 製作:東映

市川右太衛門扮する徳川家の御曹子・紅葵が一世の反骨ぶりを発揮して、狸親父にへつらう大名、豪傑どもに豪剣をふるう。戦国武将の意気と情をうたった痛快無類の傑作時代劇。

あらくれ大名 
(C)東映

ストーリー

徳川家の御曹子の身ながら、落目の豊家を護り、反骨一代を貫いて戦国武将の意気と情けを天下に示した一世の風雲児・松平直次郎は、慶長十九年大阪冬の陣に於いて、抜群の働きを見せ勇名を天下に轟ろかせた。
なかでも、家康の本陣を夜襲した茶臼山の一戦では、父・家康を死地寸前に追い込み、家康愛用の葵の紋入りの鞍を奪って心胆を寒からしめた。
かくて徳川家康は、大阪城落城困難とみてここに講和が成立したが、この講和の裏には、大阪城の外壕を埋めさせ、さらに、籠城軍の中核をなす真田幸村や直次郎らの牢人群を城内より離散させて、ある者は徳川の陣営に引き入れ、従わぬ者はこれを葬り去ろうとする深謀が隠されていたのだ。
直次郎とてこの例に漏れず、特に茶臼山の一戦に於いて辱しめを受けた家康の軍師・板倉伊賀守は、主家の御曹子にあたる直次郎を葬り去ろうと秘に決意を固めていた。講和の後、浅見弥左衛門と妙の父娘、むささび小金吾らを供に城を出て野に下った直次郎の背には、既に伊賀守の諜者の目が鋭く光っていたのだ。
直次郎は大阪城で共に戦った木村長門守の邸に別れの挨拶に訪れ、そこで親友・薄田隼人正とめぐり合った。
折しも長門守の屋敷には、同じく大阪方の明石掃部頭が訪れ、長門守の許婚である自分の娘・浅緒との婚礼を迫っていた。だが、この浅緒と長門守の母・右京太夫の局は、淀君の名代として伏見の家康のもとへ伺候する役目を命ぜられた大事の身、長門守はその役目が無事果されるまで婚礼の儀を白紙に戻すよう申し出る。
陰ながらこれを聞いた直次郎と隼人正は、強引に二人を結び付け、掃部頭の感謝の涙に送られて家康が滞在する伏見に向った。一方、淀君の名代として伏見城に入った浅緒と右京太夫の局は、講和条件を無視して内濠まで埋没しようとする家康に中止を申し入れるが、家康の側近・伊賀守は、この両名を人質とし、長門守と掃部頭の豊家よりの離反を計るという卑劣な手段に出る。
この頃直次郎は、伏見の城下に入り、先に分捕った家康の鞍を見せ物にし、家康に伺候する日和見主義の大名たちの行列を襲っては大金を献上させるなど、家康の城下で堂々と反抗して、豊家を護る戦国武将の意気を示していた。
やがて徳川一門の度肝を抜く毎日を送る直次郎を親友・薄田隼人正が訪れる。隼人正は、直次郎の家来・浅見弥左衛門の娘・妙を妻に迎えたいとやってきたのだ。妙の心を知らぬ直次郎は、隼人正の申し出に喜ぶが、当の妙は直次郎を心秘かに愛していたのだ。妙の本当の心を知った隼人正は、男らしくきっぱりと妙をあきらめて別れる。
直次郎は、隼人正から浅緒と右京太夫の局が人質として伏見に止め置かれていることを知ってこの両人を救出し、卑劣な手段を用いて豊家を崩壊に追い込み徳川家に汚名を残す家康の側近・伊賀守らと豊家の恩義を忘れた日和見主義の大名たちに天誅を加えることを決意する。
一方、智恵者の伊賀守も、間諜のお林を直次郎の身辺に送り込み、あらゆる手段を用いて隙あらば直次郎を葬り去ろうと計った。
直次郎は、この伊賀守の奸計をはらいのけ、動揺する長門守と掃部頭を説得、抜群の智力と胆力を充分に駆使して、遂に浅緒と右京太夫の局を救い出すとその勇姿を伏見城内の父・家康の面前に現すことに成功したのだ。
これまでの数々の反抗によって怒りに燃える父・家康に対し、誠心誠意戦国武将の真の道を説く直次郎――。家康の怒りも何時しか人の子の父としての感情に変っていった。
今こそ時到れりと、直次郎の鉄拳が奸臣・伊賀守の面上にうなりを生じてふり下される。その鉄拳は、鉄の兜を一撃でへこませるという痛烈なものだ。更には、家康のお墨付きを貰うことに汲々たる諸大名の面に、直次郎の剛筆がたっぶりと墨をふくんで痛快無類に躍りはねるのだった。

あらくれ大名 
(C)東映
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