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南国太平記 比叡の血煙り

Tales from Southern Kingdom Pt.1

1960(昭和35年)/2/16公開 55分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11572 
配給:東映 製作:東映

風雲急を告ぐ幕末を背景に、怪奇戦慄の呪文に秘められた島津家家督相続をめぐり、東映時代劇青春オールスターが血と剣と愛の嵐を呼ぶ冒険時代劇。

南国太平記 比叡の血煙り
(C)東映

ストーリー

夜のとばりに包まれてすっかり寝静まった島津藩江戸屋敷の床下を這う不思議な二つの影がある。
島津藩士・仙波小太郎と益満休之助だ。
紙燭の灯りに照らし出されて床下の柱に浮び上がったのは、心臓に小柄を剌されて留められた無気味な呪いの藁人形だった。二人の表情がこわばる。人形の背には「島津寛之助、行年七才」とはっきり読めた。
頃は維新の黎明期を控えた物情騒然たる幕末。薩摩藩主・島津斉興の側室・お由羅は、斉興が洋学に耽る嫡男・斉彬の前途を危ぶんで家督を譲ろうとしないことを幸いに、我が子久光を世継ぎに立てようと、腹臣・碇山将曹一味と図り、兵道家・牧仲太郎の呪法によって斉彬、寛之助親子の人命調伏を行っていた。
寛之助君のお守り役をつとめる許嫁の綱手から、寛之助君の臨終に牧の幻影を見たと知らされた小太郎は、いち早く国許に居る牧の仕業に違いないと断定し、休之助に協力を頼んで深夜の屋敷探索となったのだ。
小太郎とその父・八郎太は呪いの人形を証拠に斉興へ直訴に及んだが、かえって逆鱗にふれて所払いの処分を言い渡された。
「牧を斬ってみせる」斉彬公への忠節を誓った盟友・名越左源太、西郷吉之助、大久保市藏たちを前に決意を語る小太郎の語気には激しいものがあった。
小太郎は、綱手をお由羅派の黒幕である大阪留守居役・調所笑左衛門の許へ、妹の深雪をお由羅のもとへとそれぞれ間者として入り込ませ、自分は父と共に宿敵牧を求めて旅立った。
八郎太と小太郎の親子が上方へ向ったという報は大阪へ飛び、途中の街道には調所輩下の白刃が待ち伏せるのだが、これを探知した江戸っ子巾着切・庄吉の知らせで急を聞いて馳けつけて来た休之助たちの奮闘によって二人は危機を脱する。
一方、お由羅の方は寛之助調伏の成功に次いで、更に斉彬の命を奪おうと牧を京の比叡山に呼び寄せる。これを綱手から知らされて勇躍比叡へと急ぐ仙波父子を牧の一子・月丸手練の示現流が待ち構えていた。
月光を背に、小太郎の鏡心明智流が月丸の邪剣と相対する。龍虎相討つ死闘も、小太郎の切先をかわして跳び退った月丸が、腐った橋桁にのめって足下の大川へと転落して流血は見なかった。
仙波父子は比叡の険しい山道にあえぎながらも厳重な囲みを破って首尾よく牧の身辺に迫ったが、八郎太は警護の剣客山内の手に倒れ、小太郎も白刃の林にジリジリと追い詰められて絶叫を残し崖から転落する。
あたかも妖雲たなびく島津家の多難な行く末を暗示するかのごとく、小太郎の後を追って石と土砂が音を立てて崩れ落ちていった…。

南国太平記 比叡の血煙り
(C)東映

シリーズ

「南国太平記」シリーズ(4)

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