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旅の長脇差 花笠椿

The Long Dagger

1960(昭和35年)/6/12公開 84分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11782 
配給:東映 製作:東映

高田浩吉の東映第一回主演作。椿の花を片手に颯爽と登場する椿平九郎が痛快無類の大活躍を見せ、江戸の豪商伊丹屋乗っ取りの策謀を絶って悪ボスを倒すという波乱痛快のストーリーが展開する、痛快娯楽篇。

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ストーリー

両国の芝居見物帰りの伊丹屋万兵衛の跡取り息子・新太郎と手代の音吉は、突然数人の暴漢に襲われたが、瓢然と現われた浪人姿の侍に救われる。粋好みの着流し姿のこの浪人こそ椿平九郎だった。
灘五郷御酒問屋でのれんを誇る江戸一の豪商伊丹屋の主人・万兵衛は、息子の命の恩人平九郎を迎えて下にも置かぬもてなし。だが、伊丹屋を辞した平九郎が大川端にさしかかった時、またしても先ほどのやくざたちが斬りつけて来た。
たまたま、そこへ平九郎の友で洒脱な浪人・磯貝大吉郎が駈けつけ、ニ人は鼻唄まじりにやくざたちを叩き伏せると意気揚々と料亭松仙に乗り込んだ。
平九郎は、ここで手代の音吉が旗本納戸役・日下部作十郎の用人・遠山半左衛門と密談しているのを目撃、新太郎襲撃の一件に関して疑惑の念を深めるのだった。
一方、伊丹屋にはある日、土地の大ボス堀留の長五郎が訪ねて来て、万兵衛の愛娘・美津江と旗本日下部作十郎の一人息子・進之丞との縁談を強要した。
進之丞は評判の馬鹿息子で、この縁談の裏には長五郎と万兵衛の後妻おみねの伊丹屋乗っ取りの策謀があったのだ。そのためにも跡取り新太郎の存在は、長五郎、おみねにとっては邪魔であったわけだ。
こうしたある日、またも暴漢に襲われて足に負傷し床についた新太郎の願いで平九郎を迎えに来た美津江の口から、進之丞との縁談話を聞いた平九郎は初めて事件の糸口をつかんだ。
ある夜、とある料亭で、進之丞と美津江の見合いが行われたが、万兵衛の代理として美津江に同行した平九郎は、日下部作十郎に新太郎傷害の下手人の引き渡しを迫り、激怒した作十郎一味と大立廻りを繰り広げる。仲人役を買って出た長五郎は好機到来とばかりに、平九郎に長脇差を手渡して日下部を斬らせたが、旗本を斬ってしまった平九郎は、やくざ姿に身を変えて江戸を逃れ、長五郎は平九郎の留守を幸いと万兵衛を殺害すると伊丹屋を乗っ取った。
一方、長五郎から暗殺の密命を受けて平九郎の後を追う浅二郎は、伊豆の悪貸元・辰巳屋源藏のもとに草鞋を脱いだ。丁度その頃、源蔵の賭場では平九郎を探しに江戸を立った乾分格の金太が、イカサマサイコロに引っかかってスッテンテン、偶然賭場で顔を合わせた平九郎に救われる。
平九郎は金太の報告で万兵衛殺しの真相を知り、賭場荒しと後を追う源蔵を斬ると、浅二郎を万兵衛殺しの生き証人として江戸に向った。
一方、平九郎の留守中、伊丹屋を守っていた大吉郎と料亭松仙の仲居・お千賀の必死の努力の甲斐もなく、伊丹屋には「堀留」の大看板がかけられた。
そして今日がその店開き、江戸中の顔役を迎えて長五郎は得意満面だ。
その時、縞の合羽に三度笠も颯爽と、長脇差一本腰にぶち込んだ旅鴉が一人、滑べる様に入って来て長五郎の前に立ちはだかった――平九郎だ。しかもその背後には金太に縛り上げられた生き証人の浅二郎がいる。
進退極まった長五郎は平九郎に斬りつけ、たちまち阿修羅の大立廻りが展開されたが、そこへ大吉郎はじめ美津江、新太郎も駈けつけて、平九郎の助太刀で美津江、新太郎の姉弟は見事に親の仇を討った。
南町奉行の安房守は、名奉行の名に恥じず美津江、新太郎の仇討ちを讃え、やくざ姿の平九郎を旗本殺しの犯人・椿平九郎ではないとして許した。
翌日、すっかり元気になった新太郎、それに町人姿になった大吉郎と金太に見送られて、平九郎と美津江の寄り添う姿が美しい春霞の中に溶けていった。

旅の長脇差 花笠椿
(C)東映

シリーズ

「旅の長脇差」シリーズ(2)

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