作品検索

作品紹介

獄門坂の決斗 

Hell's Gate

1960(昭和35年)/9/21公開 73分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11864 
配給:東映 製作:東映

剣豪スター近衛十四郎が、謎の素浪人富士崎吟三郎に扮して、得意の剣と名推理を生かして活躍する怪奇戦慄の推理篇。

獄門坂の決斗 
(C)東映

ストーリー

蒸し暑い夏の一夜、柄にもなく涼を求めて蛍狩りと洒落た弁天長屋の住人・捨松と助十の二人は、土堤で数人の武士に守られた行列に出遭った。好奇心にかられて近寄った二人の前で、御殿駕籠の戸がカタンと開き凄まじい形相の御殿女中の死顔が見えた。「キャーッ!」びっくり仰天の捨松と助十「見たからには、生かしておけぬッ!」警固の武士の白刃が躍って、危機一髪の二人を、同じ長屋に住む浪人・藤崎吟三郎が救った。現場に落ちていた鬼鳶菱の紋がある木札を前に、吟三郎はじめ、勘太、その妹のおりん、長次ら捕物長屋と異名をとる長屋の面々が顔を集めていた。
あくる朝、材木河岸に御殿女中の死体が打ち上げられた。女の名はおみの、日本橋の両替屋・近江屋の娘だった。吟三郎の命で、勘太は近江屋の丁稚からおみのが昨夜藤堂家の迎えで谷中の竜光寺へ行ったことを聞き出した。直参旗本・梶木典膳と偽って竜光寺を訪れた吟三郎は、住職の執事の儀山からケンもほろろに追い帰されたが、若い僧の了然からおみのの来た事を聞いた途端に一団の武士たちに襲われる。同士討ちした一人から、先夜と同じ鬼鳶菱の木札を発見した吟三郎の眼が光った。「鬼鳶菱は藤堂家の替え紋」長次の情報を得て捕物長屋の住人たちの活動が始まった。近江屋は、藤堂家の国元の御用林払い下げを受けるため、姉娘・おみのを御殿に上げようとしたのだが、その死によってお側用人・新城権太夫に頼み込み、妹娘のお幸を代わりに差し出すことにした。長次の情報で毎月三の日に藤堂家から根岸へ怪しい駕籠が通るのを知り、その途中を糺したが、意外にも、駕籠の主は藤堂家の当主・高忠であり、その無礼をとがめられた吟三郎は指南役の羽賀田玄白斉と刃を合わせた。行列を尾行していた家老・榊原主水によってその場は収められたものの、去り行く駕籠を吟三郎の疑惑の眼が追っていた。御用商人・長崎屋は、妹のおつたを好色な高忠に差し出し、権太夫と結んで利権を一手に握ろうと、根岸の寮に高忠を招き、数々の趣向を凝らして機嫌をとり結んでいたが、高忠はおつたを好まず、計画は進まなかった。
ある日、深網笠の武士に追われた御殿女中風の女が長屋に救いを求め、一同の侠気で長屋にかくまわれることになった。その女、志津が何者かに襲われ、間一髪のところを吟三郎に救われたが、帯の間から落ちた毒薬の包みに何故か狼狽するのだった。やがて高忠に見初められたお幸に迎えの駕籠が来た。竜光寺の本堂で住職の玄幽から清めの酒を受けたお幸は血を吐いて絶命する。「今度は見つからぬように海へ捨てろ」お幸の死体を駕籠に乗せて、運び出そうとする一行の足を高笑いが止めた。「今度こそは逃がさぬぞ!」吟三郎の烈刀、火を吹いて、一味は叶わずと敗走する。権太夫一味は、吟三郎に決闘状を送り、獄門坂で玄白斉と対決させた。激闘を続ける吟三郎と玄白斉だが、別働隊によって長屋が襲われ、おりんが拉致された。権太夫は、玄幽の口から愚昧な高忠に二十一才卯年の女、つまり、おつたを側室にしなければ生霊の祟りありと脅し、その生贄におりんを斬らせようとする。重傷を負いながらもこの情報を吟三郎に漏らして長次は死んだ。榊原の諫める言葉も聞かずにおりんを斬らんとする高忠、その時、長崎屋の趣向で出入りさせた余興のおかめ踊りの一行が、庭先に躍り出た。面をパッと取れば、吟三郎と捕物長屋の面々、それに間者から悔悟した志津の姿も見える。一同の奮闘でおりんは救われ、権太夫一味も倒された。「富士崎こと、隠し目付け大須賀重兵衛」と名乗る吟三郎は、榊原の忠誠に免じて乱行の高忠をニセ者と面罵し、高忠もその情ある計らいに悔悟した。
捕物長屋は今日も賑やかだ。殊に、おりんの顔は一際輝いているが、それは吟三郎が元通りこの長屋に住むことになったからだ…。

NO IMAGE
ページの先頭へもどる
一般社団法人 日本映画製作者連盟・会員(4社)