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野火を斬る兄弟 

Brothers of Fire

1960(昭和35年)/10/26公開 81分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11964 
配給:東映 製作:東映

若山富三郎・山城新伍のコンビが渡り者の兄弟に扮して、旅に綴る恋と兄弟愛の情緒篇。

野火を斬る兄弟 
(C)東映

ストーリー

生まれついての生一本・筑波の新助は鼻つまみものの土地の貸元・虎五郎を斬った。弟思いの兄・伊太郎は、新助をかばって虎五郎の子分・源七らの追手を逃れ、流れ流れて辛苦の末、信州は原市近くの弥五郎の飯場にたどりついた。兄弟は、弥五郎の女房・おのぶに云い寄る原市の悪貸元・藤兵衛を巧く追い帰したことから、おのぶの口ききで弥五郎の飯場に住み込むこととなる。弟の新助はおのぶを一目見たときから、幼い頃死に別れた母への憧れにも似た慕情を抱き、そしてまた、弥五郎の妹・おみよは、男らしい伊太郎に好意を抱く。人足小屋に入った兄弟は、人夫頭の熊蔵から荒っぽい挨拶を受けたが、兄・伊太郎はこの熊蔵をものの見事に倒して人夫たちから一目置かれるようになる。この飯場小屋で、兄弟は荒くれながら人の良い熊蔵以下人夫たちと久しぶりに人並みの生活を送るが、新助のおのぶに対する慕情は募るばかり、おのぶも仕事の鬼のような夫・弥五郎に飽き足らず、年下の新助の一途な慕情に心乱されるのだった。折から原市の藤兵衛のもとに兄弟を狙う源七ら一行が草鞋を脱ぐ。この藤兵衛から兄弟が虎五郎殺しの凶状持ちであることを聞いた弥五郎は、直ちに兄弟を飯場から追い出そうとする。弥五郎は、新助がおのぶを慕っていることをう薄々ながら感づいていたのだ。しかし、熊蔵ら人夫一同と兄・伊太郎を慕う妹・おみよの反対で、弥五郎はしぶしぶながら兄弟をかくまうことになる。
折も折、原市は秋祭りの賑わい、飯場小屋も久し振りの祭休みとなり、おみよも晴着姿を伊太郎に見せようとおめかしに夢中だが、おのぶのお供をして原市に出掛けた新助は源七らに見つかり、血路を切り開いておのぶをかばい飯場にたどりついた。後を追ってきた藤兵衛と源七らは伊太郎兄弟をかくまったとして弥五郎とおのぶを引き立て、弥五郎を監禁しておのぶを手篭めにしようとする。おのぶが連れていかれたことを知った新助は、長脇差片手に藤兵衛の家へと突っ走る。だが多勢に無勢、新助はおのぶをかばって、藤兵衛、源七らに斬りたてられる。兄の伊太郎は、おみよからこれを聞くと血相を変えて駆けつけるがこのときすでに、新助は全身に刀傷を浴びて虫の息となっていた。血だるまの新助の遺骸を抱えた伊太郎は、眦を決して斬り込み、藤兵衛と源七らを次々と叩き斬った。伊太郎は、弟・新助の遺骨を抱え罪を一人でかぶって再び旅に出た。感謝の思いをこめて見送る弥五郎とおのぶの側をすりぬけるように旅姿のおみよが伊太郎の後を追って駆けていった。

野火を斬る兄弟 
(C)東映
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