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俺が地獄の手品師だ 

Hell's Juggler

1961(昭和36年)/1/15公開 90分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12129 
配給:東映 製作:東映

御存じ檀原警部が、ヨコハマの刑事殺害事件の真相を掴むため、脱獄十三回の凶悪犯に扮して北海道~北陸~日本アルプス~ヨコハマを股に二挺拳銃と手品で大暴れを繰り広げる。

俺が地獄の手品師だ 
(C)東映

ストーリー

濃い夜霧の中に不気味に静まりかえった北海刑務所。突如そのしじまを破ってサイレンが砲哮し警鐘が烈しく乱打された。厳重な警戒を破って三人の囚人が脱獄したのだ。バッファロー・ゲン、桁外れの馬吉、ファンキー小僧といずれ劣らぬ異名を持つ無法者ばかりの三人、なかでも最近アメリカから送られてきたバッファロー・ゲンは無類の手品を使い、六年間のアメリカ監獄生活で十二回も脱獄したという豪の者である。名だたるこの北海刑務所で脱獄前科四犯で鳴らした桁外れの馬吉とファンキー小僧もさすがに彼には一目置いている。馬吉と小僧が四度も脱獄を計画したのには深いわけがあった。三年前、馬吉の属していた三ライト興業の社長・毒川が、横浜の縄張りをめぐって対立していた立花組の組長・立花を射殺した。毒川の罪を一身に被った馬吉は、可愛い息子の一郎の将来を毒川に托して刑に服したが、事もあろうに大学生になった一郎は間もなく刑事殺し事件の犯人として捕らえられてしまった。真面目な息子の無実を信じる馬吉は、以来何とか真犯人を突き止めようと、同じ官房のファンキー小僧と四度も危険な脱獄を計画したのだった。この身の上話を聞かされたゲンも馬吉に力を貸すことを約束した。ゲンの鮮やかな手並みによりまんまと脱獄に成功した三人は、秋田、北陸と厳重に張られた捜査網を次々と突破、日本アルプスの山小屋に身を隠して横浜潜入のチャンスを窺った。若いファンキー小僧は、山小屋管理人の孫娘で美しい道子といつしか想いを寄せ合っていた。
そんなある日、山小屋に早討ちサブと名乗るやくざ者が姿を見せた。唯一人脱獄囚の行方を追ってきた北海警察きっての敏腕刑事、しかも無類の拳銃の名手・橋本刑事の仮の姿である。だが仲間にしてくれと頼むサブにゲンは何故か冷たくあしらった。ゲンの手は早くもサブの警察手帖をスリ取っていたのだ。夕霞に包まれた林で拳銃を手に対峙するゲンとサブ、一瞬二つの銃声が山にこだまする。だが死力を尽くした二人の決闘も時ならぬハイカーの出現に妨げられ、ゲンはやむなくその場から姿を消した。
それから数日、ヨコハマのクラブ“赤い城”で世界的手品師・王竜とその助手・秀玉のショウが開かれていた。その舞台に忽然と姿を現したゲンは、王竜と即興の手品合戦を演ずるという大胆不敵な態度を見せた。三年前の立花社長射殺事件以来、三国人・李大業と組んで麻薬取引にも手を染めていた毒川社長は、ゲン、馬吉、小僧三人の出現にやむなく彼らをかくまった。一方立花組は、組長亡き後息子の丈次が後を継ぎ、ダイオードの石松ら子分と共に組の再建に力を合わせていた。丈次の妹・稀美子とふと知り合ったのが縁で、早討ちサブもまた立花組に身を寄せた。馬吉の出現で刑事殺しの事件の真相がばれるのを恐れた麻薬ボス・李大業は、毒川と丈次たちの対立を巧みに利用し、馬吉らをかくまった毒川を裏切って、立花組長殺害の下手人が毒川である事を丈次に教える。折も折、李大業の麻薬組織を視察すべく国外の麻薬本部から派遣された全権一行の送別会が李邸の大広間で開かれようとしていた。裏切った李に迫る毒川一味、その毒川を仇と狙う丈次、石松、サブ等の銃口、そしてゲン、馬吉、小僧等…。殺気をはらんだ大広間に悪と悪の対決が迫る。その時悠然と姿を見せた全権一行、それは何と手品師・王竜と秀玉であった。しかも王竜の手にはバッファロー・ゲンこと実は警視庁警部・壇原武夫の写真が握られていた。不敵な笑みを浮かべる壇原警部、その口から李大業の悪事の数々が語られる。遂に手練の二挺拳銃が火を噴いた。銃弾が銃弾を呼んで展開される壮絶な拳銃戦。初めて真相を知った丈次一味は、壇原警部を助けて戦った。サブこと橋本刑事の急報により警官隊も雪崩込んだ。渦巻く硝煙の中の激闘数刻、秀玉を撃たれた王竜、李大業の一味は遂に縛についた。暗黒街の夜明け、久しぶりに壇原警部の顔は明るかった。

俺が地獄の手品師だ 
(C)東映
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