1961(昭和36年)/3/1公開 82分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12199
配給:東映 製作:東映
剣豪小説作家・五味康祐の同名傑作小説『柳生武芸帳』の完全映画化。
徳川三代、将軍家御指南役であり、天下お止め流として名声高い柳生家に伝えられる〝柳生武芸帳〟水月、浮舟の二巻…。この秘巻の中に天下争乱の因が秘められていた。この秘帳をの争奪を巡っての展開する幕閣要職の暗躍、さらには柳生新陰と疋田陰流の血で血を洗う壮絶な死斗の中に、正義の烈剣を振るう快男子・柳生十兵衛の豪快な活躍振りを波瀾万丈のタッチで描く!
柳生武芸帳…それは柳生新陰流の秘伝と称され、その実、天下を左右する恐怖を秘めるという謎を持つ水月・浮舟の2巻であった。その武芸帳を所持するのは、先頃幕府から改易を命ぜられ、家名再興に奔走する竜造寺家の遺児夕姫と忠臣神矢悠之丞だった。そんな2人を襲い、武芸帳を奪い取ろうとするのは、疋田浮月斉を頭とする霞の多三郎ら疋田陰流の一味。その場に偶然通りかかる柳生十兵衛。その十兵衛に武芸帳を託す夕姫…だが、それは偽物であった。そして、その事を知る由もない霞の多三郎は、十兵衛を追い掛け、武芸帳を巡る疋田陰流一派の企みを伝える。そんな中、神矢悠之丞が十兵衛に襲いかかる。竜造寺家の改易は柳生家の密告によるものと信じていたからだった。この騒ぎに、多三郎も加勢し、両派が対峙しようとしたまさにその時、十兵衛の弟又十郎が騎馬で駆けつける。一方、この武芸帳の存在が、幕僚の間でも問題となっていた。大老土井大炊守と若年寄永井信濃守の暗斗をも生み、意を決した十兵衛の父但馬守宗矩は、全国の柳生新陰の門弟に檄を飛ばす。これにより、浮月斉一味の疋田陰流と柳生新陰の間の暗斗に油を注ぎ、死斗はさらに激しさを加えていくこととなるのだった。そして、柳生家追放の先鋒は土井大老であり、これに対し松平伊豆守、永井信濃守は宗矩側にあり、さらには天下の御意見番大久保彦左衛門も宗矩を手助けしていた。
江戸に帰った十兵衛と又十郎は、父宗矩から初めて武芸帳の謎を聞かされる。家康が幕政を確立した頃、禁裏の公卿たちの間に幕府転覆の陰謀があった。宗矩とその父石舟斉はこの企みを未然に阻止するため、一味に加わったが如く、連判状に名を連ねたのだった。いまこれが公になると柳生家はもとより天下の一大事へと発展しかねないのだった。それ故、この武芸帳を巡り果てしない斗いの日々が始まるのだった…。
「柳生武芸帳」シリーズ(8)