1961(昭和36年)/3/29公開 78分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12204
配給:東映 製作:東映
大都会の裏面に暗躍する秘密組織に食い込み、その悪徳ボス一昧を壊滅する東京探偵事務所、人呼んで“東京新撰組”の若さ一杯の目ざましい活躍を描く青春痛快篇。配役は、東京新撰組、野々宮譲に根方弘樹、その恋人で東亜経済の秘書藤倉未樹に北原しげみ、新撰組の敏腕所長高見沢に山本麟一、美貌の秘書冬木彩子に久保菜穂子、新撰組海老名に曾根晴美、同じく五味に亀石征一郎、姫田に高原駿雄、加えて中山昭二、小沢栄太郎、神田隆、河野秋武、須藤健、佐々木孝丸、ハ代万智子、志村妙子、清水一郎、杉義一、小野良、稲吉靖、八名信夫などベテラン新鋭陣が競演している。
東京探偵事務所は、若々しい団結と行動を讃えられて世間から“東京新撰組“と呼ばれていた。さて、その日の探偵事務所は、けたたましいベルによってふたをあけられた。電話を受けたのは、美貌の秘書冬木彩子。電話の主は若い女性の声、東亜経済の経理部長 竜崎の身辺調査を依頼してきたのである。東亜経済は、銀行が相手にしない零細な預金者を高利のキャツチフレーズで獲得し、今日の大を成した会社だ。電話の声は、名前も告げず謎を含んでぷっつり切れた。何かあると察知した所長 高見沢は、所員の海老名、五味、姫田、を派遣し竜崎の身辺を洗わせた。その結果、竜崎は麻薬煙草の常用者で、クラブ「アフリカーナ」の支配人狭山から秘かにそれを購入していたことが判明した。ところがその矢先、竜崎は東亜経済に押し入った白昼ギャングに射殺されてしまったのである。それは金が目当てのギャングではなく、竜崎の口を封じるのが目的だったものらしい。高見沢は事件の核心をあばくべく腕ききの所員 野々宮譲をクラブ「アフリカーナ」に飛ばせた。譲は麻薬煙草の常用者をよそおい、得意の拳銃と腕っぷしにより、麻薬密輸一味の用心棒にもぐり込むことに成功した。一味の組織は、小松興業の社長小松大吉を首領に「アリフカーナ」の狭山、河合、鉄砲店主の井藤、そして殺し屋のスコッチの健、ファンキーの秀等だが、その背後に糸を引く強力なボスが介在する模様なのである。譲はボスの正体をつき止めようと奔走する中、たまたま「アフリカーナ」で光代と称するアプレ女性と知り合った。光代は何かを探ろうと其処へ来たらしい。それは竜崎事件にからまるものであろう。譲は早くもそれを感知した。その頃、刑務所に入っていた会社乗っとり屋の江川が出所して来た。江川は弟分だった小松が社長にのし上り、自分の縄張りがすっかり彼のものになっているのに業を煮やした。小松をねたんだ江川は、陰に糸を引くボスに取り入ろうとするが入れられず、八方破れの江川は逆にボスの弱い尻を従って、ゆすりにかかった。まんまとボスから闇ドル5万ドルを威し取った江川は、情婦の真理と高飛びを計るが、その寸前二人はボスの命を受けた井藤の拳銃の餌食になってしまった。では江川は何をネタに黒幕のボスをゆすったのだろう。それは東亜経済の経理の秘密を記した竜崎メモ?ギャングに殺された竜崎は、ボスの命により東亜経済の預金者の莫大な金を、乗っとり資金として江川に流用していたのである。その為、東亜経済の経理面は乱脈を極めていた。とすると、ボスとは預金者の金を自由に出来る人物、つまり東亜経済の横田社長か?兵頭副社長?竜崎は、事が次第に大きくなるのを苦しみ、この秘密を一人でしまっておけなくなった為、一味の殺し屋健にロを封じられたのだ。譲は密輸一味を探る中、その背後に会社乗っとりの大きな力が動いていることを知るのだった。その時、アプレ女性光子を洗っていた五味から朗報がもたらされた。光子は、実は横田社長の秘書藤倉未樹が変装していたもので、竜崎の身辺調査を依頼してきた電話の主も彼女だったのである。未樹は、いつも悩んでいた竜崎に秘密の匂いを嗅いだ。そして自らも「アフリカーナ」に事件を探る中、たった一人の伯父である横田社長に疑惑を感じ、心を痛めていた。密輸組織に君臨し、会社乗っとりに暗躍するボスは横田か?譲は最後の勝負をつけようと、未樹に托して横田と兵頭に書状を送った。「江川氏所持の竜崎メモの件につき至急商談致したく・・・」譲は、取引き場に選んだ東京ホテルヘ出掛けるが、その途上、井藤と狭山に拳銃をつきつけられ、人家を離れた岩城へ拉致された。そこには、小松一味が、そしてボスが譲を持ち受けていた。ボスは兵頭だった。譲が江川にならってありもしない竜崎メモをネタに打った手は見事図に当り、ボスの正体をあばく事が出来たが、譲は、一味の拳銃の前にさらされた。然し、その時既に東京新撰祖の手が廻っており、高見沢を始め、海老名、五味、姫田がかけつ、更にまた警官隊もこれに呼応、一味は凄惨な拳銃戦の末、すべて壊滅された。横田社長は、兵頭の悪事を感づいており、社運をかけたことなので秘密裡に事を解決しようと心を砕いていた事が、反ってこの事件を招いたのである。事件は無事落着した。迎えに来た未樹のスポーツカーが、譲を乗せて、夕闇の中に静かに走り去っていった。