1961(昭和36年)/4/5公開 80分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12241
配給:東映 製作:東映
明朗奔放な若者に扮した高田浩吉が、姿を変えて平七万五千石の城下に忍びこむ。そこの姫気味と結婚する筈だったが、江戸表の陰謀の為にその姫君が窮地に落ち込んだためだ。若君の明朗剣が如何に悪を斬るか。浩吉の魅力100%の娯楽時代劇。
浪人笹井又四郎は、或る夜、浪人者の一団に連れ去られようとしている深川の芸者お艶を救ったことから、磐城平七万五千石の家中にお家騒動の動きのあることを知った。又四郎が、お艶の話から推察するところによると、平藩では、国元の多恵姫に松平の若君源三郎を婿に迎えお家を継ぐことになったが、江戸表の側室お千代の方の生んだ千鶴姫を世継にたて、藩政を我が物にしようとする江戸家老大島刑部は、中老松平と生き写しのお艶を、松島の身替りとして国元へ使者を立て、後家相続のお墨付きを奪おうと計画していたものだ。そこで、刑部と手を結ぶ悪商人磐城屋庄兵衛が、色と欲の二筋道をかけてお艶を口説こうとしたが、江戸っ子芸者のお艶がこれを断ったため、浪人を使ってお艶を狙い、それを又四郎が救ったというわけだ。又四郎は、何を思ってか、身辺を守る約束をして、お艶に身替りとなって、平へいくことをすすめるのだった。この後、お艶の家からの帰り道、刑部の腹臣主水らが又四郎を狙うが、その前に立ち塞がったのが、辻斬り浪人鬼塚甚十郎だ。甚十郎の必殺剣をかわして又四郎が去った後、この甚十郎は、その腕を買った谷主水のすすめで仲間に入る。さらに又四郎は、仲間喧嘩で危うく殺されそうになった磐城屋の手下常吉を救い、その常吉を子分にする。
一方お艶は、早速中老松島の身替りとなり、婿となる松平からの結納金と共に、谷主水、甚十郎、磐城屋らに守られて平へ急ぐ。そのお艶の駕籠わきには、いまは又四郎の子分となった常吉がつきそっていた。又四郎も、同じ頃、女芸人お雪一座と共に平へ向かっていたが、お雪らは、女芸人というのは表芸で、実は女盗賊団だったのだ。又四郎はその正体を見抜き、忠告の手紙を残してお雪らと別れるが、お雪は又四郎の男らしさにひかれていたのだった。平藩に入って間もなく、又四郎は、傍若無人に馬を走らす男勝りの多恵姫の馬を止め、無謀をいましめ、その後、国家老の内藤治部右衛門の家へ、多恵姫の視察に来た松平源三郎の家臣と名乗って訪ねる。治部右衛門は、早速又四郎を城中に案内するが、治部右衛門の一子小次郎は、又四郎の身分に疑問を抱く。城中で又四郎に会った多恵姫は、さきに自分の馬を止めた男が当の又四郎だと知って驚くが、江戸表の陰謀はの動きを率直に話す又四郎に心をひかれる。この夜、平藩に入ったお艶ら一行の本陣へ、お雪らが忍び入りお雪もお艶も、そして主水らも姫のそばに控える又四郎を見て驚くのだった。
実は又四郎とは仮の名、この男こそ、松平家の若殿で、多恵姫の婿となる松平源三郎だったのだ。磐城屋と主水らが、お雪ら一行と、又四郎の身分を疑う小次郎を利用して、お墨付きを奪い、多恵姫を暗殺、さらに又四郎の命を狙って一挙にお家横領の大陰謀を押しすすめようとするのだ。松平源三郎の機智と正剣は、多恵姫を守ってこの大陰謀を断つか?そしてまた辻斬り浪人鬼塚甚十郎の正面体は?内藤家七万五千石の平城に、最後の決戦の時が、刻々と近づくのだった。