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富士に立つ若武者 

A Young Warrior in Mt. Fuji

1961(昭和36年)/4/9公開 93分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12251 
配給:東映 製作:東映

大川橋蔵が若き日の源頼朝に扮しておくる華麗な源平時代絵巻。平家に追われ、伊豆に流されて送る源氏再興の辛苦の日々と、北条政子との灼熱の恋。

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ストーリー

平治元年十二月、都での平家との戦いに武運つたなく一敗地にまみれた源氏一族は、平家の急追にあい次々と鴨の河原を紅に染めて倒れた。さしも隆勢を誇った源氏も、大将義朝をはじめ僅かに数騎を残すのみとなり、凍てつく様な月明の下を一団となって落ちていった。だが、途中比叡山の荒法師に行く手さえぎられ、激斗の末死地を脱したとはいえ、義朝の次男朝長は戦死し、三男頼朝は折からの比叡おろしの猛吹雪に道を迷い、父の一行を見失ってしまった。針の様に肌をさす寒風、一寸先も見えぬ白魔をついての逃避行に力尽きて頼朝はたおれた…が、凍死寸前折りよく通りかかった素朴な土地の狩人鬼頭次、志乃の兄妹に救われた。しかし、兄妹の口から父義朝の一行が青墓長者の家で追ってに捕らえられ首を刎ねられたことを聞き、雪中に顔をうずめて慟哭する頼朝だった。もはやこれまでと観念したより共は、駆けつけた平家の追手に名乗り出て縄についた。都に送られた頼朝、鬼頭次、志乃は、三條河原で処刑寸前、清盛の母禅尼の命乞いによって救われ、伊豆の配所に流された。
それから十年の月日が流れた。頼朝は忠臣佐々木定綱、盛綱、それに鬼頭次兄妹にまもられて、伊豆の配所で読経三昧静かな日々を送っていたが、ある夜、目代配下に追われる頼朝の友文覚を救った北條時政の娘政姫の美しい姿が、頼朝の心をとらえた。そして、この頃から定綱を中心に源氏再興を計る草の実党が生まれるなど、頼朝の周囲は次第に動きはじめていたのだ。新たに伊豆目代として平兼隆が赴任したのは、丁度この頃であった。兼隆は見せしめとばかり買い物にでた鬼頭次兄妹をめった打ちにし、北条家で催された宴席には頼朝を引き出して酒を浴びせるなど、平家の力におごり酔っていた。この兼隆が政姫を見初めた。しかし政姫の心は流罪人であるが気高く心清い頼朝になびき、美しい富士の野を遠駆けする頼朝、政姫の姿が見られる様になった。頼朝と伊豆の豪族北條の政姫が結ばれれば源氏再興に万金の重きを得ると文覚はじめ草の実党の面々は大喜びだったがこれを察した兼隆は時政のもとに乗込んで政姫を強請した。だが灼熱の恋に身をゆだねる頼朝、政姫の目には、最早源氏も平氏もなかったのだ。そしてあくまでも、隆兼を断り続けて来た政姫だったが、家門を重んじ頼朝を斬りまじき父時政の決意を知って、涙ながらに兼隆のもとに嫁ぐ決心をした。
そして迎えた挙式の当日、満を持していた頼朝は決然と立った。“頼朝は生きて恋を得るその時が源氏再興の時だッ!と鎧かぶとに身を固め、きりりとした源氏の若武者姿に戻った頼朝は定綱以下の草の実党、盛綱の一党、土肥次郎、仁田四郎など一騎当千の強者たちを従え、宴たけなわの目代館に斬りこんだ。騒然たる式場に頼朝は阿修羅の太刀をふるい兼隆を斬った。“姫ッ、わしは生きた人間になったぞ、生きた人間に”遠く富士の見える丘に駈け上がった頼朝は鞍前の政姫を力強く抱いた。そして、眼下には無数の軍勢が源氏の白旗をなびかせつつ進んで行くのだった。

富士に立つ若武者 
(C)東映
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