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銀座野郎

1961(昭和36年)/4/30公開  モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11967 
配給:東映 製作:東映

銀座の人気者、仲の良い流しのコンビ哲と六が、七色のネオンに輝く夜の銀座を舞台に描く、唄と笑いと活劇の痛快篇。

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ストーリー

銀座にネオンが灯る頃、哲と六がそろそろミコシをあげる。哲はギター、六はアコーディオンを肩に、夜の銀座へ流れてゆく。哲と六は、銀座の人気者、仲のよい流しのコンビである。バー“オメガ”のハイティーン女給トリオのチー子、カー子、トン子は、哲の大ファン。そして病身の母を抱える貧しい靴磨きのサブは、哲を兄のように慕っていた。
ところがここに思わぬ不幸が持ち上がった。哲と六の目の前でサブが自家用車にひき逃げされたのだ。二人は、急遽サブを病院へ担ぎ込んだ。幸いサブは、命に別状はなかったが、さてその入院費となると、流石の哲も腕をこまねいた。おヘソを見ると妙案が浮かぶというところから、おヘソの六と異名をとる六も、金となると、いくらヘソを見つめてもさっぱり妙案が出てこない。然し窮すれば通ず、思わぬ救いの神が現われた。救いの神とは、ほかならぬチー子、カー子、トン子の女給トリオで、三人は、スクラム組んでマダムの節子に団体交渉、三万円の給料前借の要求をかち取り、その金を哲たちの前に投げ出してくれたのである。哲たちは、ほっと一息というところだった。
それから数日後、哲と六は、図らずもひき逃げ自動車に同乗していた女性を、地下鉄の中で認めた。ところが女の傍にスリの辰がダニのようにくっついているではないか。辰は、彼女のハンドバッグから封筒を電光のようにスリ取った。素人ならともかく、昔銀座の哲としてスリ仲間に名前を売っていた哲の眼はごまかせなかった。哲は、辰を締め上げ、スッた封筒をとり上げた。哲は、この封筒を手掛かりにひき逃げ自動車の主を捕まえようとしたが、封筒の中身は、横文字のチンプンカンプン、いささか哲をがっかりさせた。ところがこの封筒は、平田貿易の社長の平田が、事務員の孝子に、ダグラス紹介へ届けるよう托したもので、陰で麻薬を扱う平田貿易の、麻薬に関する重要書類らしい。封書をめふって、当局の眼が哲の周囲にそそがれた。然し哲は、麻薬だろうがなんだろうが、ひき逃げ自動車の主を見つけるまではと、頑として封書を出そうとしなかった。
一方孝子は、易者の教えにより、昔スリの名人だった焼き鳥やの弥助を訪ね、それから辰の許へ、そしてやっとの思いで哲のアパートを探し当てた。孝子としては、封書が出てこなければ会社を辞めなければならないのである。勿論、孝子は、書類の内容について知るよしもなかった。そしてひき逃げの主は、社長の平田で、孝子は、自動車から飛び出してきたサブを救おうとしたが、平田に引き戻されてしまったのである。然し哲は、孝子もひき逃げの相棒、麻薬密輸団の手先と信じ込み、封書と二百万円の交換条件を申し入れた。取引はキャバレー“シカゴ”の事務室で行われた。ところが哲の前に待っていたのは、二百万円どころか、平田の拳銃だった。封書は平田の手に、と思いきや哲もさるもの、昔鳴らした指先芸術に物を云わせ、平田のポケットから難なく書類をスリ返していた。この封書を今か今かと待ち受けていたダグラスは、平田の失敗を知り、黒木、サウスポーの英、エミー等に哲を葬り去るように命じた。彼等は、辰の口から哲の住居を知り、アパートに押し入ったが、哲は居合わせず、六を人質として拉致去った。一方、哲の住居をがんとして割らなかった弥助は、英の消音銃の犠牲になってしまった。事の全てを知った孝子は、哲の隙を見すまし、封書を手に警察へ駆け込んだ。封書は、麻薬密輸団の全貌を記してあり、香港の麻薬王鎮戴笠から、黒幕のダグラスへ宛てた麻薬情報で、平田は両者の連絡の連絡員に過ぎなかったのである。孝子は、その足で封書と六を交換しようと“シカゴ”へ出かけるが、麻薬団の内情を知った孝子を一味は生かしておく筈がなく、黒木の拳銃は孝子の胸を狙った。間一髪、エミーが孝子の身をかばって立った。銃弾がその胸を貫く。エミーと孝子は、別れ別れになっていた姉妹だったのである。エミーは妹をかばいながら息絶えていった。そこへ孝子の知らせで警官隊がなだれ込んできた。慌てた一味は、先を争って逃げまどった。やっとの思いで逃げのびた平田は、ダグラスの輩下兵頭に麻薬を渡すが、張り込んでいた警官に逮捕された。それを認めた殺し屋の英は、消音拳銃によって、連行中途中の平田の口を封じてしまった。一方哲は兵頭の後をつけ麻薬の根城ダグラス商会へ乗り込んだ。哲は、兵頭から抜き取った拳銃を片手に、ダグラス、英、黒き、兵頭たちを相手に敢然と戦った。と、この時、パトカーのサイレンの音。ダグラス一味は、悪運つき根こそぎ逮捕された。今夜も銀座にネオンが灯った。元気になったサブと、サブの世話をしようという孝子が仲良く並んで靴を磨いている。哲と孝子の瞳がやさしく見交わされた。さあ商売だ、哲の歌声が六のアコーディオンに乗ってネオンの洪水の中へ消えていった。

銀座野郎
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