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霧丸霧がくれ 

Treasures over The South Sea

1961(昭和36年)/5/3公開 85分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12290 
配給:東映 製作:東映

時代劇新星・松方弘樹の主演第一回作品。無間の鐘に青春を賭け、瀬戸内海から江戸へ、幸せと試練を求める若き美剣士・霧丸に襲い掛かる海賊”黒い狼”船目付、豪商などの魔手と韓国に眠る財宝を巡って波瀾万丈!

霧丸霧がくれ 
(C)東映

ストーリー

徳川の世も始めの頃、日本水軍の発祥地として知られた、瀬戸内海の塩飽七島。その、七島一つ牛島の極楽寺に「無間の鐘」と呼ばれる古鐘があった。「無間の鐘」それは、一名、鳴らずの鐘と云われ、撞いても鳴らず、若し、万一、鳴ることがあれば、その撞いた人間は現世で巨万の富を得ても、未来には、無間の地獄に落ちると云う、恐ろしい云い伝えを秘める魔性の鐘でもたった。
或る日、この魔性の鐘に我が身の行く末を賭けた若い男女があった。まだ少年の面影を残し、匂う様な若武者二出川霧丸と、その恋人、今は行方知れぬ塩飽水軍の頭入江四郎衛門の一人娘浪江である。「現世はおろか、来世までも、片時も離れない……」激しい祈りをこめて、男の手と女の手が一つに並んで撞木を握った。「ごおーん」鐘は鳴った。絶えて久しく、鳴ることがなかった鐘は、いんいんとして塩飽の海面を渡り、人も、島も、海も、一瞬息を潜めたかの様に、異様な静寂に閉ざされた中で、二人は激しく抱き合うのだった。鐘の呪いは、先ず浪江の上に現われた。霧丸から、母の唯一の形見と云う「梨花の鏡」を贈られ、本島に戻った浪江は、そこで、当時瀬戸内海を荒し廻っていた、海賊「黒い狼」が漁師久六夫婦を襲い、黒阿弥陀像を奪い去るのを目撃し、彼等の話から、父四郎左衛門が、その仲間となっていると云う事を知るのだった。更に、我が家に戻れば、浪江の美貌に目をつけていた、幕府船目付高柳九十郎から、父の行方をかさに、側女となる事を強要され、これを拒むや「黒い狼」に関係ありとして、母桐乃と共に、御用船伊豆丸に乗せられ、江戸に連れて行かれるのだった。愛する浪江を、眼前から連れ去られたきり丸は、身を寄せていた牛島の回船問屋丸尾五左衛門の助けで、伊豆丸に忍び込み、浪江母子を救い出すが、九十郎の短銃に撃たれて海に落ちた。一方浪江母子も、一度は無事丸尾屋の船頭藤次の船に助けられるが、それも束の間、何処からともなく現われた「黒い狼」襲われるのだった。波にもまれた霧丸が、灰色の渦から気づいたのは小豆島の洞窟だった。傍には、霧丸のその日の行動を知ると云う一人の女が、甲斐甲斐しく傷の手当てをして呉れていた。女の正体は「黒い狼」の娘津賀。霧丸に対する、献身的なその態度は父黒い狼からつけられた、守り役潮三郎、とん平には苦々しいことだった。「黒い狼」にさらわれた浪江は波勝岬の海賊仲間の海市で、江戸の人買い紋吉に買われお津賀の好意で、駈けつけた霧丸の前から再び連れ去られるのだった。霧丸も江戸に出た。しかし、高柳九十郎の手により詮議は厳しく、藤次と共に、五左衛門の兄弥兵衛の家に身を寄せ、浪江の行方を探っていたが、藤次や弥兵衛の弟子の力で、浪江が、花菱屋から酒井雅楽守の屋敷に移された事を知った。浪江が仕える青貝勝之進とは時の公儀筆頭の勢力者雅楽守を父に持ちながら、痴呆者としか見えず、剣の技に並々ならぬ腕を持ち屋敷内の道場に、連日血なまぐさい稽古をする不思議な人物であった。この勝之進の手元に、黒観音の像がありこれを奪うのが、花菱屋が浪江に命じた仕事だった。この事は、花菱屋と通じる高柳九十郎にとって逃がすべからざる好餌である。公儀の在任である、浪江をかくまうならば交換条件として、自分を近く来朝する韓国使節団の出迎え総奉行にする様、勝之進に申し入れた。黒い狼、高柳九十郎、花菱屋がこれ程執拗に狙う梨花の鏡、黒阿弥陀、黒観音の三体こそは韓国に埋められていると云う巨万の富の行方が判明する秘密の鍵だったのである。霧丸は、浪江を求めて、単身青貝邸に乗込んだ。浪江の手をしっかり握った鶴丸は、勝之進、高柳九十郎配下が、囲む剣の襖の中へ飛び込んで行くのだった。

霧丸霧がくれ 
(C)東映
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