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お役者変化捕物帖 血どくろ屋敷

Cases of An Actor in Disguise

1961(昭和36年)/5/10公開 79分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12262 
配給:東映 製作:東映

“弁天屋敷”に続く高田浩吉のヒット・シリーズ「お役者変化捕物帖」の第二弾。幕府直轄の小判の鋳造所“金座”横領の陰謀がからんだ血どくろ屋敷の秘密に挑む、御存知江戸のお洒落浪人霞一平のべらんめい捕物帖と、これを助ける花形歌舞伎役者花の家菊之丞の男の友情を、明るい笑いのなかに華やかにくり展げる、新趣向の痛快捕物篇。

お役者変化捕物帖 血どくろ屋敷
(C)東映

ストーリー

「菊之丞が来てるんだってっ」「本当」「素敵」、黄色い喚声の人だかりは“よろず指南、もめ事買います”の大看板が一際目をひく、江戸のお洒落浪人霞一平の家。巡業帰りの挨拶の人気歌舞伎役者花の家菊之丞の不意の訪問に、一平の愛弟子で、才媛が自慢のお光ちゃんは、主人の不在をわびるのに汗だくの様子。当の一平は、同じ町内の居酒屋笑い樽で、女将のおこんと娘のお夏、お冬仁「菊之丞に瓜二つネ」と大もてにもで、子分の半吉と一緒に、すっかり御気嫌の様子。一平は立派に一本立ち出来るようになったお光ちゃんを独立させて、よろず指南の仕事をまかせてはどうかと半吉に相談しかける。廃業が決定して、後は看板を降ろすばかりの一平の家に「かくまってくれツ」と血相を変えて深夜の珍客が飛び込んで来た。遊び人の三五郎で、身に何のおぽえもないのに怪しい浪人者の一団に襲われたという。金座というのは、勘定奉行直轄の小判の鋳造所で、後藤金右衛門という大金持ちがこの主だ。三五郎から、妹のお美代が、後藤家の女中だということを聞き、浪人たちの後をつけた半吉の報告で、一平は、この奇妙な事件の背後関係に勘定奉行坂崎豊後守という大物の存在を知る。三五郎は、金右衛門には先妻に生ませた己之助という隠し子があるという意外な事実を語る。己之助の世話をまかされていたお美代が、後妻おえいに気がねした主入金右衛門が己之助に対して親らしくしてやれない苦しい立場にあると三五郎に打ち明けたというのだ。おえいというのは、豊後守の娘ということを笠にきた特技の占いで、後藤家に子供が生まれると不幸が訪れるから養子を迎えるのがよいと予言して、金右衛門の己之助に対する感情を無視する態度を示して譲らない金座の関白女房であるとのことなのだ。金座をめぐる豊後守の不気味な動静を感じた一平は、お美代の失踪と、更に己之助殺害事件を知るに及んで、事の重大さを痛感するのだ。三五郎へ向けていた鉾先を一平に変えた刺客団の襲撃を相手に鮮やかなお役者流の刀踊りの一差しを披露して意気を示しお光に遭遇しながらも不屈の斗志をかきたてる一平。花村座に心の友菊之丞をたずねる一平の表情には、激しい決意がみなぎっている。そして、想像もしていなかった、菊之丞にかくまれていたお美代の姿を見出して、意気込みも新たに、菊之丞に何事かの相談を語りかける一平なのだった。
その翌日、花打座に、坂崎家御用人大倉釆女の一行が押し掛けてきた。菊之丞に思いこがれて、つのる想いを芸道一筋に生きる菊之丞の役者気質に果せなかったおえいの邪恋を不偶に感じた豊後守が、これをかなえてやろうと実力行使に出たものだ。采女にお美代を発見されたために事態が悪化、根岸の金座の寮に拉致された菊之丞に対して、お美代を通じて金座横綴の陰謀を知られたと思った豊後守の懐柔策とおえいの邪恋が迫る。「養子縁組にことよせて、金座の家を乗っ盗ろうとした悪企み、自分の方からしやべったんじやぁ、世話ねぇやい。」優雅な物腰が一変した菊之丞の鮮やかな啖呵。瓜二つの菊之丞になりすました、お洒落浪人得意の風流お役者狂言の舞台が一転して、一平男度胸のべらんめい捕物の幕が切って落された。南町筆頭与力花井五郎左衛門が指揮する糸乱れぬ捕物陣が、一平の剣踊りに声援を惜しまない。外は春の朧月夜。

お役者変化捕物帖 血どくろ屋敷
(C)東映
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