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飛ばせ特急便 深夜の脱獄者

Flying Express

1961(昭和36年)/5/21公開 61分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12045 
配給:東映 製作:東映

東北を、東海道を、若い特急使の運転手が、爽快なスピードを以て縦断する、そのスリルの中に、脱獄死刑囚、そしてダイヤモンド密輸団等、忽然と起る事件のまっただ中にひきこまれ、数々のサスペンスを浴びてくりひろげる興趣あふれる青春活劇篇。出演者は、特急便運転手に小野透が扮する他、その相棒の運転助手に柳谷寛、小野の恋人役には、警視庁物語「十五才の女」で好演を見せた期待の新井茂子が選ばれて登場する。

飛ばせ特急便 深夜の脱獄者
(C)東映

ストーリー

次郎は、隼特急便の運転手である。その名前が示すように、次郎の特急便は山を越え、谷を通り、昨日は東、今日は西、まるで隼のように全国をすっ飛ぶ。隼特急便のスピードにかなう者は無いという現状。次郎の絶妙なハンドル捌きは、仲間の間でも評判である。次郎は、何時も彼の帰リを待ちわびる可愛い妹美代子と二人暮し。それに比べて助手合に座る相棒の権さんは、頭の上らぬ女房と子供四人の大世帯である。
さて、今日もこの仲の良いコンビは、隼特急便に乗り込み会津若松へ向け出発した。途中彼等は、何時ものように奈緒のガソリンスタンドに立ち寄った。奈緒は、次郎と結婚を約束していたがこの結婚話、なかなかスムーズにいかない。というのは、養子になってこのガソリンスタンドをついでくれるならば、結婚を許してもという奈緒の父徳三の意見を、次郎は心良しとしないのである。無事仕事を済ませた次郎たちは帰路に向かった。ところが、彼らは行きにもまして重要な任務を帯びてしまった。それは帰路の途中、顔なじみのおまわりさんから急病に苦しむ子供とその母ゆきを一刻も早く街の病院へ送り届けてくれというのである。
隼特急便は、猛スピードですっ飛んだ。その途中、次郎はジープの故障で困っている警官と手錠をかけられた犯人を便乗させた。ところが、この親切が仇になってしまったのである。便乗させた警官と犯人は、実は闘争中の脱獄死刑囚で、一人は警官から奪った拳銃と制服をつけ警官になりすまし、一人は犯人に変装していたのである。彼らはたちまち本性を現わし、権さんと病気の子供、そしてゆきを荷台の幌の中に閉じ込め、次郎に拳銃を突きつけ非常線を突破、必死の逃亡を企てるのだった。次郎はなんとか彼らを警察に通報しようと、途中、奈緒のガソリンスタンドに停めた。奈緒は、窓越しに次郎につきつけられている拳銃を見て愕然とした。感づかれたと知った脱獄囚の二人、大沼と清川は、奈緒をも幌の中へ閉じ込め、慌てて後を追う奈緒の父徳三に一発撃ち込み、砂塵をまいて逃走した。徳三は、傷の痛みにもめげず、事件を駐在所に急報した。非常警戒の線は、網の目のように張りめぐらされた。この非常線を縫って行ったとすれば行きつく先は、無人の山荘だけと、地図の上から推理した県警主任は、警官隊と村の青年団を動員、山荘へ向った。次郎達は、主任の推定通り山荘に監禁されていた。高熱に泣き叫ぶ子供を冷かに見守る大沼、奈緒に挑みかろうとする清川、まるで惨忍な獣に取り囲まれたような次郎達だ。見るに見かねた次郎は子供の熱を冷す水を汲みに小川へ出かけた。勿論、その背中には清川の拳銃がぴったりとつきつけられていた。次郎は、汲み上げた水をいきなり清川にぶちまいた。虚をつかれた清川は、一瞬、次郎に拳銃を奪われていた。主客は転倒、次郎は、清川を楯に大沼に挑んだ。怒り狂った大沼は、拳銃を乱発、その一弾は清川の胸を貫いた。ハッとひるむ大沼、その隙に乗じた次郎は、大沼に体当りを敢行、拳銃を奪い取った。そこへ村の青年団を混えた警官隊が崩れ込み、大沼にがっちりと手錠をかけた。急病の子供も父の腕に抱かれ、病院へ無事急送された。次郎の隼特急使が、今日も晴れ晴れとした田舎道をつっ走ってゆく。田島、川治、宇都宮を過ぎ次郎の運転する隼特急使は一路東京へ。ニコニコ顔の権さん、ごきげんでハンドルを握る次郎、その瞳に東京の灯が美しく写った。

飛ばせ特急便 深夜の脱獄者
(C)東映
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