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吸血死美人彫り 

Grave of Bloody Dead Body

1961(昭和36年)/5/28公開 69分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12334 
配給:東映 製作:東映

慶長五年、関ケ原合戦の際、徳川家康を助けた功労により、10万石を授けられるという秘密を握った雄蝶、雌蝶つがいのくれない彫りと、その証処の在りかを秘める世にも不思議な死美人彫りをめぐり、10万石横領を企らむ怪党白魔党一味を相手どり、運命の浪人滝沢竜太郎と親友堀川波太郎、さらに北町奉行曲淵甲斐守らの活躍ぶりを追って物語は展開。それぞれの秘密を持ったいれずみと、しかけ彫りの名人東方斉の筆になる大和絵が随所に出没して興味を呼んでいく。

吸血死美人彫り 
(C)東映

ストーリー

浪人滝沢竜太郎の父母は、10年前、しかけ彫りの名人東方斉の姉娘と共に、何者かの手で暗殺された。成人した荒太郎は、行方不明になった東方斉の筆になる桜花に首なし屍体の大和絵が旗本加賀爪甚五郎邸にあることと、父の仇は加賀爪一味と白魔党である ことを知った。
白魔党に追われた竜太郎は、小町そば屋のお志津姉弟の家にかくまわれるが加賀爪邸から奪い返した大和絵の下半分が、お志津から隣室の画家岩石先生の手に移る。岩石先生こと岩田専介は、北町奉行曲淵甲斐守の隠密である。竜太郎の幼友堀川波太郎も、今は与力の身で、甲斐守の命を受け、ある秘密を探っていた。それは慶長五年、関ケ原合戦の年にさかのぼり、行方不明となった家康公言行録、お墨附目録二巻と、滝沢夫妻の暗殺、さらにお志津の父土屋源之助の闇封ち事件にまつわる謎であった。そのお墨附は、関ケ原合戦で家康公の命を助けた功により、滝沢、土屋両家の子孫男女が夫婦になれば、10万石を授けられるというさだめを待っていた。
黒塚弾正か元兇にいただく、奇怪なすずめ婆、旗本加賀爪、忍者蝶の藤太ら白魔党の一味は、雪景色に入墨女が浮かび上る残る大和絵の上半分から、神君言行録の秘密を奪わんものと、生き残る東方斉の妹娘と、土屋源之助の娘の二人を探し出すべく躍起となる。
その二人とは、竜太郎を慕う芸者雪奴と、志津であった。一方竜太郎は、白魔党のために度々危機にさらされるが、その都度岩石先生に救われる。遂に竜太郎は加賀爪の手から目録二巻を奪い返すことができた。しかし白魔党は、雪奴が東方斉の娘であることに感ずき、雪奴を誘拐、その背の玉の肌に、春景色に女の立姿のある大和絵の彫り物を認め、更に、短銃で傷ついた堀川波太郎の体とひき替えに大和絵と言行録と目録の二巻を交換すべく甲斐守に申し入れてきた。
章太郎は親友を救うべく、一味の根城である諏訪の森、荒屋敷に乗り込み、無事堀川を奪い返すが今度は志津が誘拐されてしまった。
彼等の目的は、志津の肩口に彫られた雌蝶のくれない彫りと、弾正の息子主馬の背に描いた雄蝶の絵をあわせお墨附を手中に牧めて10万石を横領することであった。おしどりの雄蝶と雌蝶のいれずみを持つ滝沢竜太郎と土屋志津が10万石を拝領する運命を背おっていたことはいうまでもない。そのいれずみをいれた東方斉は加賀爪邸地下牢に生きていたが、捕えられた娘の雪奴と邂逅して、背中のいれずみぱ死美人彫りだと遺言して死んでいく。
黒塚主馬と志津の祝言が挙げられようとするころ、奉行所望楼に白魔党が仕掛けた時限爆薬が九ツの時を期して爆発したが、甲斐守と章太郎は危うく死をまぬがれる。そして加賀爪邸に斬り込んだ竜太郎は、10万石横領を企らむ元兇、弾正と主馬を剌してめでたく父の仇を討ち、志津と並んだが一味の刃を受け血まみれで転がり込んだ雪奴ががっくりと息絶えたとたんに背中の大和絵がたちまち消えて、代って新しい文字が浮かび上った。めざすものは、甲州、甲武俗伝、魔入の首にあり。これが10万石拝領のために必要な最後の品のありかである。

吸血死美人彫り 
(C)東映
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