1962(昭和37年)/2/21公開 94分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12664
配給:東映 製作:東映
港の縄張り争いに命を張るヤクザが、ふと知り合った大学教授夫人に魅了され、ヤクザ仕事から足を洗ってまでもこの恋を成就しようとするのだが…。無情の波止場を背景に、成せぬ恋のせつなさを描いたアクションメロドラマ。
男は、網棚から女のボストンバッグを下ろしてやった。男の名は沢田浩といい、昨今、横浜で売出中のやくざで、神戸へ麻薬の取引に行った帰り。女は戸川礼子といい、アメリカから帰る大学教授の夫を迎えに横浜へ行くところ。勿論、二人は見ず知らずの仲、ただ神戸で偶然隣合せに座席を取ったの過ぎないのである。だが、沢田と礼子をこれ程までの仲にしてしまったのは…。礼子は夫の船が四日程遅れたため、高校時代の親友で、横浜にキャバレーを開く文江を訪ね、そのままずるずると居候してしまった。一夜、礼子はキャバレーで、文江から一人の男を紹介された。列車で居合せた沢田だった。沢田と礼子はバンドの曲にのってフロアーを滑った。ステージから流れるリズムは二人のムードとなり、いつしか恋の赤い花を咲かせていった。その頃、港では、やくざの縄張り争いが熾烈を極めていた。出る杭は打たれるの例にもれず、港の大親父と呼ばれる松前は、最近勢力を拡げ出した岩瀬組を叩こうと、刑務所から出てきた立花組の黒川の後押しをしていた。松前としては、岩瀬組と立花組を正面からぶつからせ、その共倒れを狙っているのだ。そうと知ったからには、岩瀬も黙ってはいられない。密かに一の子分、沢田に松前の命を狙わせた…。