1964(昭和39年)/11/21公開 87分 カラー シネマスコープ 映倫番号:13728
配給:東映 製作:東映
舞台は京都の祇園と宮川町。金のためなら他人の男でも平気で奪うドライ芸者・君蝶が、四人の男を手玉にとる凄腕ぶりを村山新次監督がねっとりとした描写し、匂うばかりの風俗の中に女の欲望を浮き彫りにしている。
京都の宮川町のお茶屋・静乃屋の女将・きくは、自分を愛した男・渡辺の為に芸者から足を洗い「人の善い女」といわれていた。きくには渡辺との間に美貌の二人の娘があり、姉の君蝶は売れっ子の芸者で一家の生計の中心となっていた。君蝶は母とは性格が正反対で「金の切れ目が縁の切れ目」を地でゆくドライ振りで色町の反感を買っていたが、男たちは夢中で彼女を追った。そんな彼女にも悩みはあった。頼まれると断れずに金を工面する「人の善すぎる母」。結局君蝶が稼がなくてはならない。妹の妙子には同じ職場に働く祇園のお茶屋菊亭の養子・孝次という恋人があり、二人は密かに将来を約束する仲だった。其々の母親にこの事を打ち明けたが、孝次の母・千代は芸者時代にきくと渡辺を張り合って失恋した苦い思い出があり、反対する。孝次も妙子のことは愛しているが養子であるため千代の意に背く事は出来ぬという。そんな孝次の顔に君蝶は力いっぱい平手打ちを加えるのであった。そして、昔貢がせた男からの借金の申し入れを断りに脇腹を刺された君蝶の傷が快方に向かった頃、妙子と孝次が現れ、二人で東京へ行くという。君蝶の胸に熱いものが流れた…。