1969(昭和44年)/4/19公開 96分 カラー シネマスコープ 映倫番号:15774
配給:大映 製作:大映
暮れなずむ緑の茶室に、恋の哀歓を謳う女人群像。日本女性の永遠の愛の姿を描く文芸名作。一人の男性をめぐる、四人の女性の葛藤を日本の伝統美の描き上げる。 主人公の平幹二朗をめぐる四人の女性に、京マチ子、若尾文子、梓英子、南美川洋子を配し、激しく、儚く、せつない女の様々な愛の姿を演じる。
父の遺産を受けた三谷菊治は、女性との関係の中で、常に父の面影がはなれない。父がこよなく愛した太田夫人は、肉体のもろさゆえに、菊治を求め、その罪の厳しさにおののき、自ら命を絶ってしまう。夫人の娘文子は、そんな母親を救おうとするが、果たされず、自分までもが菊治を愛していることに気付く。茶の師匠をする栗本ちか子も、父の愛人ではあったが、満たされなかった愛を、菊治の日常に口を挟むことで、今になって満足を得ようとしている。菊治と見合いをする稲村ゆき子は、いかにも清楚な美しさを持った女性だが、乙女らしい、初々しい愛を菊治に持つようになる。菊治をめぐる四人の女性は、様々な愛を菊治に寄せるが、そこには女の業が異なった姿で出ているのかもしれない。