1953(昭和28年)/10/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
田畠恒男が自作のオリジナル・シナリオによって監督した。戦後大船では初の時代劇。撮影は井上晴二、音楽は万城目正。若杉英二、藤代鮎子、高千穂ひづる、徳大寺伸などが主演。
天保年間--大利根の流れを挾んで飯岡に拠る助五郎、笹川に拠る繁蔵の両雄は何かにつけ張合う仲である。笹川八幡の境内で両派の身内の小競合いが起こり、飯岡方、州の崎の政吉の活躍から笹川方は手痛い目にあったが、笹川一家の関戸の辰の仲裁で事は治まった。真面目な政吉は両家のいざこざがいつもこちらが仕掛けているらしいのに不満を感じるが、これはすべてまむしの伊三郎の指金、彼は親分の助五郎を恨む気になれない。笹川一家から花会の招待状が届いたが、助五郎はやはり伊三郎の言葉で自身は出かけず政吉を名代に志も五両と僅小な額をきめる。諸国の貸元衆があつまった中で、政吉は恥ずかしさに唇を噛むが、意外、繁蔵が壁に貼り出した紙には百五十両也とあった。その温いとりなしに感激した政吉は爾後両派の和解に尽力するが、一向効がない。ひとり苦しい酒をあおる彼の唯一の理解者は許婚・助五郎の娘お千代だった。伊三郎の策謀いよいよ激しく、ついに助五郎は繁蔵方へ殴り込みをかけようとする。