1954(昭和29年)/12/29公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
柳川真一、中田竜雄、森田龍男の三人が共同で脚本を書き、大曾根辰夫が監督。撮影は石本秀雄、音楽は万城目正が担当。出演者は美空ひばり、宮城千賀子、淡路恵子、伴淳三郎、堺駿二、広沢虎造、有島一郎、川田晴久などの他、高田浩吉、奈良光枝、フランキー堺等が特別出演。
今宵満月の夜、夢と幻想の楽園狸の国では、若殿鼓太郎をはじめ城中あげての大仮装舞踏会が催されていた。さて近所の胡桃の森に住む可憐な胡桃売りのお花と間抜けなポン吉狸は、強欲な親方太郎兵衛に内緒で御殿へ行こうとして見つかり、胡桃を全部売って来る様に強いられた。仕方なく御殿で売り歩く中、浮かれたお花が歌い出し、これが若殿の気に召して、仮装舞踏会の飛び入り第一位に選ばれ褒美に駒鳥の籠をもらった。この狸の国に隣接する蝙蝠谷に闇右衛門を頭とする悪棘な蝙蝠族が棲んでいた。彼等はかねがね放射能雨に悩まされていたため娘のお誘を仮装舞踏会へ乗りこませ、雨を防ぐ狸王国の守り本尊照照大明神を奪わせようと企んだが失敗し、今度は若殿を人質にしようと考えた。一方お花の貰って来た駒鳥を見た親方は、それを奪おうとしたが、お花は必死に抵抗して逃してやった。怒った親方から難題を吹っかけられ弱っているところへ森の精がやって来て、駒鳥を助けた褒美にお花を救ってくれた。一日胡桃の森を訪れた鼓太郎は、突如蝙蝠族におそわれ、危機は脱したが、傷ついたところをお花に救われた。鼓太郎はお花の看護で快復し、今では彼女に結婚を申込むのだった。しかし若殿は蝙蝠族の奸計にさらわれ、ビン詰めにされてしまった・・・。