1958(昭和33年)/2/8公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
島津保次郎監督の原作「隣の八重ちゃん」を斎藤良輔が脚色し、穂積利昌が監督、布戸章が撮影した明朗篇。主演は桑野みゆきと石浜朗。ほかに日守新一、中村是好、清川新吾、田代百合子、佐竹明夫、川口のぶ。
東京郊外に隣り合って住む堀田、三浦両家。堀田家は新作・松子夫婦に東大生の敬一と高校生の精二の四人暮し。三浦家は耕三・浜子夫婦に高校生の恵美の三人暮し。両家の子供たちは大の仲よしで、恵美と敬一は淡い思いを寄せあっており、恵美と精二はケンカ仲間といった具合。ある日敬一は恵美の家で彼女や友達の弓子から桃色攻勢をかけられ、さんざん油をしぼられた揚句、穴のあいた靴下をぬがされて逃げ帰る。直した靴下を敬一にはかせようとする恵美は、なぜか胸のときめきを覚えるのだった。そんなころ、恵美の姉、多美が、嫁ぎ先から帰って来た。平凡なサラリーマン生活に嫌気がさした彼女は、夫の迎えに耳もかさず、恵美や敬一兄弟をつれて遊びに出た。だが、敬一に対して何となく挑発的な多美の仕草が、恵美には不安でならなかった。そのうち多美は敬一の愛を求めるようになったが、敬一はそれをしりぞけた。傷心を酔いにまぎらわす姉の態度を、恵美は強い言葉でなじった。ある日、多美は家出をしてしまった。その上、父耕三の転勤が重なった。敬一と恵美は、多美の寂しい心を思いやり、別れの悲しさを語りあった。だが再会の日を楽しみに、お互いに胸を張って生きて行くことを誓いあった。その夜、多美は夫の許へ帰った。別れの日、敬一と精二が見送る中を、耕三、浜子、恵美を乗せた列車は静かにホームをすべり出した。