1959(昭和34年)/4/28公開 102分
配給:松竹 製作:松竹株式会社
木下恵介が執筆したオリジナル・シナリオを自ら監督した、大人へと成長していく少年たちの友情を描く抒情篇。撮影は楠田浩之が担当。
会津の飯盛山、白虎隊の墓前で、一人の青年が吟ずる“少年白虎隊”の詩にあわせて四人の青年が剣舞を舞っていた。詩を吟じているのは会津塗りの下職をやっている馬杉彰、舞っているのは大滝旅館の息子・峯村卓也、工場に働く手代木浩三、“サロンX”の息子・牧田康正、それにアルバイトしながら東京の大学に通っている岩垣直治の四人。岩垣の帰郷を機会に久しぶりに旧交を温める五人だったが、彼らの胸には幼き日の友情と現在のそれぞれの境遇の変化からきた感情の食違いが複雑に流れていた。というのも岩垣は出資者・鬼塚の家の女中と変なことになって追出されてきたのであり、そんな彼を手代木は冷く責め、馬杉は生一本にかばっていた。康正の家にも東京から叔父の英太郎が転りこんできていた。彼は土地の芸者みどりと駈落ちしたが、みどりは芸者屋の女将に連れ戻され、彼自身は胸を患っていた。康正の母・米子は質屋の桃沢悠吉の妾で英太郎にいい顔をしなかったが康正はこの叔父が好きで、再び芸者をしているみどりと会わせてやりたいと思った。がみどりは近く鬼塚の妾になる身の上だった。そんなある日、桃沢家に、悠吉の妻・たねの姪で養女にしていた蓉子に婿養子をもらう話が鬼塚の肝いりで持ち上がった。相手に見込まれたのは手代木である。ところが蓉子は康正を慕っていた。康正は本妻と妾の子といったお互いの関係から蓉子を諦めていたのだが。手代木は蓉子と見合する前に、友達として康正に一言断りに来たが康正は是認するほかなかった…。