1959(昭和34年)/7/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
野田高梧のオリジナル・シナリオを尾崎甫が監督した大船調喜劇で、坂本松雄が撮影した。
フランス料理店“ボンソワール”のマスター山本長太郎はかつて欧州航路で腕をふるった名コックだが、その競馬狂と値段かまわずの名人芸で女房お民の逆鱗にふれ、二人は別居した。長太郎は会社員の次女牧子と一戸を構えたが、牧子の提案で二階を貸すことにした。早速塩山佐平という男が現われた。没落した製糸会社の番頭をしていたという塩山は長太郎の二階を島倉家の若い当主一夫の下宿先に決めたが牧子という未婚女性の存在が心配の種だった。牧子には大石得郎という写真マニアの青年が執心していたが、得郎にとって一夫は恋仇だった。一夫と長太郎はのんびりとくらしていた。“ボンソワール”の三階は家族の住居で長女夏子と新進作家の夫婦が住んでいた。夏子は母親似で頭が効き、太田の小説のアイディア提供者だった。夏子が一夫の歌の才能を発見し、一夫は或る音楽喫茶のコーラス・ボーイになった。サンドイッチマンの塩山佐平が一人で若様の没落ぶりに心を痛めていたが牧子は一夫に好意をもった。牧子の心が自分から離れて一夫に傾いていくのを知った大石青年が仲人を介してスピーディに求婚して来た。長太郎もお民も夏子夫婦も揃って大石青年にほれ込んでしまったので話は進んだ。長太郎とお民も元のサヤにおさまった。一人牧子だけ心が沈んでいた…。