1964(昭和39年)/5/13公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
鈴樹三千夫と渡辺臣蔵が共同でシナリオを執筆、堀内真直が監督した喜劇。撮影を加藤正幸が担当している。
高級洋裁店のお針子加代子は、自分が仕立てるドレスから果てしない夢をふくらませる、としごろの乙女だった。ある日加代子は、上得意の元伯爵令嬢和美からたのまれて、替え玉としてパーティーに行った。そこで加代子は富沢貿易の御曹子慎一からダンスを申しこまれた。けれど実は慎一も替え玉の社長付の運転手吾郎であった。そんな二人は互いに後ろめたさを感じながらも楽しい一時を過した。そんなこととは知らぬ吾郎は翌日和美にデートを申しこんだ。これを知った加代子は、なんとかその場を切り抜けたが、時がたつにつれ、嘘が嘘を生み、息苦しい毎日が続いた。そんなある日加代子の母たねが上京し、加代子はたねをつれて東京見物に出たが、途中社長の用で車を運転する吾郎に会った。吾郎は車が故障したといつわって社長を途中で下すと加代子とたねを連れて東京を案内した。たねはそんな明るい吾郎がすっかり気にいり、安心して家に帰っていった。その夜加代子は吾郎から愛をうちあけられ、とまどいながらも幸福に酔いしれた。だが、ある日吾郎は慎一をたずねてきた和美から、加代子の素性を知り、怒った吾郎は別れる決心をして加代子を呼び出した。しかし何も知らない加代子の幼い嘘にはじめの決心はにぶり、また互いに嘘をかさねるのだった…。