1967(昭和42年)/2/23公開
配給:松竹(受託配給) 製作:創造社
添田知道が性に関する俗歌を収集した「日本春歌考」(カッパブックス)に題名を借りて、田村孟、佐々木守と大島渚、田島敏男が共同でシナリオを執筆、大島渚が監督した異色の風俗ドラマ。撮影は高田昭が担当している。
豊秋は広井や丸山たちと共に大学受験のため上京してきた地方の高校生である。彼は試験場で見た女の印象からチャタレイ夫人を想い浮べ、性欲を感じた。女生徒の名は藤原眉子といい、ベトナム戦争反対の署名を集めていた。試験の終わった後、街へ出た豊秋たちはなんとなく建国記念日反対のデモに加わったがそこで、かつて彼らの教師で、いま大学のドクターコースに学んでいる大竹と彼の恋人高子を認めた。豊秋たちは高子の白い脚を見ていっそう性欲を刺激され、デパートで助けた万引き女をホテルに誘ったが失敗した。翌日、クラスメートの女生徒早苗や幸子と会った彼らは、大竹を訪ねたが、大竹は居酒屋で豊秋たちの性的欲求不満を見てとるとやおら春歌を歌い始めた。そして男生徒は一層性欲的になったのだが、女生徒は意味も分からず、無邪気に唱和していた。その夜、忘れ物を取りに大竹を訪ねた豊秋は、ガス管を蹴とばして寝ている大竹を見たが、助ける気にならなかった。春歌を歌って眉子を犯す場面を想像していたのである。翌朝大竹の死体が発見され、女生徒は泣いて悲しんだ。だが、豊秋は“泣いている女は性欲的存在である”という哲学的命題を立て、高子を訪ねた。そして大竹を助けなかったことを告白し、一番から十番まで春歌を歌うと十一番目に高子を抱いたのだが、初めてのことでうまくいかなかった。事件は過失ということになったがその後、豊秋たちはプロテストソング大会で眉子に会い、空想で彼女を犯したと告げたが、意外にも眉子は空想を実現して欲しいと言うのだった・・・。