1968(昭和43年)/1/15公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
織田作之助の原作「夫婦善哉」を森崎東と土井行夫が共同で脚色し、土居通芳が監督した人情喜劇。撮影は平瀬静雄が担当している。
大阪の化粧品問屋の一人息子柳吉は、楽天的な遊び人で妻子がありながら、芸者蝶子と深い仲になっていた。父の柳平はそんな柳吉に呆れ、勘当してしまった。だが柳吉は、これ幸いと蝶子の家に転がり込み、二人で新世帯を張った。情の深い蝶子はそんな柳吉のために芸者をやめ、ヤトナ稼業に精を出すのだった。ある日柳吉は友人の隅田から、妹の筆子が養子を迎えると知らされた。それは柳吉の廃嫡を意味した。一度は財産を分けてもらおうとした柳吉だが、元々店を継ぐことはあきらめてもいたので、筆子から300円貰うと、それを元手に「関東煮屋・蝶柳」を飛田の一画に開店した。しかし、店が軌道に乗って蝶子も喜んでいた矢先、柳吉は大病にかかった。ぐうたらな柳吉も見舞いに来た自分の娘久子を見ると、父親の愛情を覚えるのだった。やがて退院した柳吉は温泉に療養に出かけたが、蝶子はその費用を作るため、身を粉にして働かねばならなかった。しかし、蝶子は元気な姿で戻った柳吉を見た時、自分の苦労が報われた喜びで思わずうれし涙を流した。一方、柳吉は女給に手を出したりして、蝶子を悲しませていたが、そんな時柳平が亡くなった。柳吉は父の前で蝶子と晴れて夫婦の名乗りを上げようとしたが、結局周囲の人は蝶子の入籍を認めなかった。久子と柳吉と、三人で暮らしたいと願っていた蝶子は落胆した・・・。