1971(昭和46年)/10/30公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
独身の万年平巡査を主人公にして、現代の大都会に棲息する人々の生態を、哀感と笑いで綴るストーリー。井手雅人の原作から下飯坂菊馬と井手自身が脚本を書き、瀬川昌治が監督した。撮影は丸山恵司がそれぞれ担当している。
上野署に勤務する山崎巡査は33歳になるが、東北の田舎育ちのせいか、東京のテンポにあわず、今だに平巡査で結婚もできないでいる。しかも婦人警官をしている妹の弘子は上野署の巡査部長・原田と結婚しているため、義弟の新婚家庭に居候をさせてもらっているのだからしまらない。ある非番の夜、陸橋の上で赤ん坊を抱いている女の子と知り合った。話してみると、山崎の受持ちの区域の住人だとわかるが、彼が警官だと知ると女の子はそそくさと立ち去ってしまう。数日後、戸籍調べ中、先日の女の子と会い、彼女の名はナオミ、年齢は19歳、3ヶ月の赤ん坊と、老母きんとで暮していることが判明した。山崎は、きんから、赤ん坊の父の名がわかったから探してくれと頼まれ、大山巌を探しに出かけた。一方、ナオミには父親についていえない訳があった。大山は「自分は赤軍派のリーダーで、銀行の500万円強奪事件の主犯だ。これから地下に潜る」といって身重のナオミを残して消えたからだ。思い余ったきんは道端に赤ん坊を捨てた。大都会を行きかう人は、無防備な赤ん坊を見ても手を出そうともしない。ナオミは山崎のところにとんできて事情を話した。数時間後、赤ん坊は通りかかったヒッピーに拾われ、無事ナオミの手にもどった。やがて大山は銀行強盗の容疑者として逮捕された・・・。