1951(昭和26年)/11/30公開 90分 モノクロ スタンダード 映倫番号:520
配給:東映 製作:東映
生れながらにして怪童と呼ばれた五右衛門。恋、愛慾、力、そして懐疑と諦観、絢爛の桃山時代に生きる怪盗の裸像。
戦国時代、三好家の浪人であった石川五右衛門は性来の臆病により戦いから逃げまわり、いつしか野武士に身をやつしていた。女房のお種は野末の石神様に願をかけ男の子を生ん だ。男の子は人並はずれた力持ちで、野放しで育てられたために、純情無垢で人間世界のことは何も知らずに育っていった。六歳になる妹のおふうを何よりも大切に思っていたのだが、家が戦火に焼かれ、母もおふうも行方知れずとなってしまう。二人をさがして戦野をあばれまわっているうちに武田信玄に恨みを持つ、空とぶ雲のおこんという女山賊にひろわれ、その情夫となっていた。だが五右衛門の頭はいつも、何故人々は戦いで殺し合い、財宝のために醜い盗みをするのかわからない。あるとき、人質にした武士の妻於阿和が舌を噛み切り自殺したことで、その妹の萬龜につけねらわれるようになる。だが萬龜は五右衛門を憎みながらも、その人間にひきつけられていく。ある時、おこんの一味が海賊船から財宝を奪う最中、海賊の不知火太郎と意気投合し、海賊の本拠を襲って奪った財宝を貧しい村人たちに分け与えようと考えた。だがそれは、かえって村のあいだに醜い争いを生み、ついに死人が出てしまうのだった…。