1953(昭和28年)/1/9公開 128分 モノクロ スタンダード 映倫番号:810
配給:東映 製作:東映
太平洋戦争末期、米軍の総攻撃を受けた沖縄島の南端に散ったひめゆり学徒二百余名。美しき地上より消えた乙女たちが死の瞬間に呼び合えし父母の名!乙女たちの清純な心と悲惨な最期を、映画の詩人・今井正監督が心血を注いで描いた気高くも尊い、永遠の平和を世界に訴えた忘れえぬ名作。
昭和二十年三月、米軍上陸寸前の沖縄島では師範学校女子部と県立第一高等女子学校の女子生徒たちが特志看護婦として動員され、胸に白百合と桜の徽章をつけて南風原の丘へと行進していった。そこでは日本軍が、血と泥にまみれて最後の防戦に奮闘していた。弾丸運び、水汲み、死体運びに負傷兵の手当てと乙女たちは鞭打って立ち働いた。乙女たちの卒業式も壕の中で執り行われたが、日ごとに増す米軍の激しい艦砲射撃と機銃掃射に日本軍はひめゆり部隊を残して退却していく。ひめゆり部隊は米軍の機銃にさらされ多くの犠牲者を出しながら辛くも軍に追いつくが、既に米軍に包囲された沖縄島では安全な場所はなく、やがて摩文仁の洞窟に追い詰められていく。目もくらむ炸裂と轟音が山を崩し、雨の如く落ちる至近弾に次々と人命が奪われていく。降伏をすすめる米軍の放送に思わず飛び出た娘を容赦なく撃ち殺す軍人。濛々たる硝煙とともに爆破される洞窟の入口。硝煙の向こうから拡声器の声が降伏を勧めながら近づいてくる…。