1956(昭和31年)/4/4公開 67分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2187
配給:東映 製作:東映
備前岡山の心極流使い手・市森左太夫は旅の途次、槍の名人・鳥山永庵の手の中に玄妙不可解の秘術を見る。
京の御所で行われた天覧試合。備前岡山の藩士で心極流の指南役・市森左太夫は、この試合で日本一となり、仲間の弥作と共に岡山に帰る途中、京僧流の槍術名人・鳥川永庵と出会う。一行は、立ち寄った宿で庄屋・平左衛門に無理矢理立ち会いを強要されるのだが、永庵は平左衛門の太刀を受けたと見せて間髪入れずに相手の急所をつくという奇手を見せた。そして左太夫は、「打たずに打つ太刀、斬らずに斬る剣」という不可解の剣理があるのではと考え始める。岡山に帰った左太夫を待ち受けていたのは、家老の茨木勘太夫の娘・千春との婚礼話であった。丁度千春が左太夫を訪ねてきて、彼女の得意な「鷹の舞」という舞を舞ったとき、その動きにあの不可解な剣理を究めるための何かがあると感じた。それ以来、左太夫は夢遊病者のように千春に付きまとい、何度も鷹の舞を所望した。師匠の後藤兵衛だけがその真意を理解する。だが御前試合で荒法師と立ち合った左太夫は、打たずして打ち、斬らずして斬ることで圧倒するものの最後の一工夫が足りず、荒法師の槍に突き倒されてしまう。このことが主君の怒りを買い、左太夫は女中・おきくと共に城下を去り、権現の境内で一人厳しい修行に励むのだった。そして二度の冬を迎えたある日、遂に左太夫はその剣理を成就する…。