1957(昭和32年)/2/19公開 95分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2338
配給:東映 製作:東映
近松門左衛門の名作狂言に材を取り、不義の名のもとに父・母・子が封建制度の因習のために悲運に泣く感動の珠玉篇。
丹波の国。由留木の家老・稲葉幸太夫の娘・重野は行儀見習いに御殿へ奉公中、奥小姓を勤める与作と恋仲になり、与之助という男子を儲けた。御殿での不義の行為と城を追われた与作。重野や幼い子に会わせてほしいと幸太夫に懇願するが相手にされない。さて由留木の城ではちょうど同時期に姫が誕生し、乳母を捜していた。一番家老・本田弥右衛門の計らいで重野にその重任が課せられた。姫と不義の子・与之助が乳兄弟では面目ないと幸太夫は重野と与之助の縁を切らせて与之助を里子に出した。時が流れ、浪人者となった与作は与之助を探して旅から旅の暮らしだった。道中、幼い馬方のもの悲しい馬子唄を聴き、この馬方・三吉こそが生き別れた与之助と知るが、名乗り出せずに宿場へ到着する。そこには三吉が姉と慕う小まんという勝気な女がいた。素朴な与作の心情は日々に小まんの心をゆすって幸せな3人の暮らしが続く。さて、宿場に丹波の由留木の行列があり、三吉は道中すごろくが縁で一行の姫の相手をしたが、その三吉の胸にかかるお守り袋を見た重の井と幸太夫は驚愕する。12年前に重野が赤子の与之助に結びつけた守り袋だった。母と名乗りだせない重の井、気づいた三吉は母をののしる。さて、小まんには貧しい百姓の父・庄作があるが、年貢の5両を小まんに泣きこんできた。与作が引き受けたもののアテがない。小まんと与作の苦しみを見かねた三吉は再び重の井を訪ねるが・・・。