1957(昭和32年)/12/28公開 95分 カラー シネマスコープ 映倫番号:10452
配給:東映 製作:東映
権勢柳沢美濃守の陰謀、将軍暗殺の企てを暴く退屈男が、舞台を江戸から京、更には安芸の宮島にまで移して活躍する東映時代劇の黄金篇。
早乙女主水之介の屋敷に、刀の束を持った一人の女が飛び込んできた。旗本立花家に所縁のあるお柳というこの女掏摸は、立花家の家宝の東照神君拝領の旗差物を取り上げたまま返さないという時の大老・柳沢美濃守の仕打ちに我慢がならず、それを奪い返して逃げ込んできたのだった。柳沢の家臣を追い払い、お柳の話を聞いて、この事件の裏に何か大きな秘密があると睨む退屈男。そんな折、新吉原は仲之町名物の夜桜見物に、お忍び遊興する大老・柳沢一行に斬り込んだ立花兄妹を救う退屈男。この退屈男の出現に狼狽した柳沢は、退屈男を長崎奉行に推挙して、江戸から追い払おうと策動するが、この栄職をキッパリと断る退屈男だった。そんなある日、退屈男は十数名の刺客に襲撃を受けるも御存じ諸羽流青眼崩しには敵うべくもなく、刺客は身を翻して逃げるのだった。退屈男は、襲われた刺客の太刀筋から神田三崎町の梅村道場に目を付ける。果たしてこの道場の一門は、徳川に恨みを抱き徳川家覆滅を狙う大久保一族で、柳沢と深いつながりがあるようだった。時に5年に一度の阿蘭陀商人の将軍家拝謁の儀が行われる時期となり、拝謁品の中のギヤマン板のカラクリから、旗差物の秘密が解けることを知った柳沢は、ギヤマン板を手に入れるために、梅村道場の一行を長崎へと向かわせる。旗差物の秘密を解いて東照神君が残したと巨万の財宝の力によって各地の反徳川派の大名を募り、新築中の安芸の宮島の柳沢別邸に将軍綱吉を招いて南蛮渡来のコブラの猛毒によって綱吉を殺害するという、徳川家覆滅の大陰謀。このすべてを見抜いた退屈男は、何を思ったのか、飄然と旅に出るのだった。退屈男は箱根山中に現れ、或いは京に現れ、柳沢の策動によって徳川覆滅の陰謀を推進しようとする各地の陰謀派を襲って、神出鬼没の活躍を見せる。一方、長崎に着いた梅村道場の一行は、何者かが赤いギヤマン板を求めて去ったことを知り、その後を追跡する。ギヤマン板を持ち去ったのは、退屈男の明察によって先に旅立っていたお柳であった。追跡の一派は、お柳を岩国の錦帯橋に追い詰めるが、その時、ひょっこり笑って退屈男が現れる。だが同じ頃、将軍綱吉、柳沢を乗せた阿蘭陀商船・レッドライオン号が宮島の柳沢別邸に向かって進んでいた。斯くして事件の渦心は期せずして宮島の柳沢の御殿へと移っていった。果たして、如何なる手段によってこの大事件を退屈男は裁くのか!?
「旗本退屈男」シリーズ(20)