1958(昭和33年)/10/1公開 85分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10695
配給:東映 製作:東映
働く若者達の中に芽生えた清純な愛情を田舎の機関区を背景に明るく、詩情豊かに描いた、鬼才・家代巳代治監督会心の傑作。
ボロ機関車の機関士崎山と助手のカマ焚き木村は、全身汗ぐっしょりになりながら渓谷を驀進していた。木村には同じ町のレース工場で働いている崎山の妻、房江の妹ゆき子という恋人があった。将来を誓い合った二人は、乏しい給金をせっせと貯金して結婚資金を十万円にするのが夢だった。そんなある日、木村は酒や競輪に溺れ日頃素行のよくない親友の前田から二万円の借金を申し込まれた。一人しょんぼりとしている前田に木村は同情し、悲痛な気持ちで金を貸してしまう。ゆき子は、共同の貯金を何の相談もなくあんな酒呑みの競輪狂いに貸すなんて酷すぎる、と怒った。ゆき子は今しがた妹きみ子の借金を喧嘩の末断ったばかりだった。そんな中、木村は丁度ビヤホールから出てきた前田とばったり会い、貸した金の使途を問い詰めた。しかし、前田は黙して語らず、二人は殴りあいになり警察署に連行された。仲直りした木村とゆき子は、休日に海へ行く約束をしたが、警察署から釈放されてから行方不明になっている前田の代わりに休日出勤する羽目になった。公休出勤で機嫌の悪い木村は、ホームで何も知らず嬉々として待っているゆき子にも会わずに出発した。崎山と木村が仕事を終え、崎山は無事出産を追えた房江を見舞うと、そこに昔の前田の恋人、河合富子が尋ねてきた。前田は木村から借りた金を、富子の夫が自衛隊で負った傷の手術代に当てたというのだ・・・