1958(昭和33年)/11/5公開 94分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10953
配給:東映 製作:東映
「喧嘩買います、命売ります。」の木札をぶら下げて江戸市中を闊歩する天下御免の青空浪人、勘兵衛が繰り広げる剣あり恋あり笑いありの人生修行。
世の中には物好きな男がいるもので、勘兵衛という浪人は屑屋長吉の家に居候し、「喧嘩買入、命安売り」と大書した看板を背に盛り場を闊歩していた。この商売の一番客となったのが、今江戸で評判の娘歌舞伎一座の花形、中村鶴吉だ。勘兵衛の剣は鶴吉に因縁をつけたならず者を鮮やかに斬って捨てた。ところが、勘兵衛は約束の金三両をもらうのもそこそこに、鶴吉からまるで逃げ出すように人混みに姿を消した。勘兵衛は忘れもしない初恋の人志乃の面影にあまりにも似た鶴吉と一刻も顔を合わせることに耐えられなかったのだ。勘兵衛と相思相愛だった志乃は好色の藩主の目にとまり、二人の仲は裂かれ勘兵衛は世を捨てたのだ。さて、金の入った勘兵衛は長吉と屋台で酒を酌み交わしたが、奇しくも運命の糸に引き寄せられたように、再び鶴吉が勘兵衛の袖にすがった。鶴吉は太夫元鬼熊の差し金で旗本青山伊織の好色のいけにえにされようとして、危うく逃れ屋台に飛び込んできたのだ。その夜から鶴吉と勘兵衛と長吉の奇妙な長屋住まいが始まった。鶴吉は勘兵衛の男らしさ惹かれていったが、今もなお勘兵衛の心は志乃が支配しており、鶴吉の恋心に暗い影を投げかけた。この頃、鶴吉を失った鬼熊は、その行方を必死に探す一方、鶴吉の一番弟子小袖を再び旗本青山にとりもとうとしていた。重なる悪事に勘兵衛は墜に愛刀で鬼熊を倒した。そこに志乃が自害したという噂が流れ・・・