1959(昭和34年)/6/30公開 86分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11271
配給:東映 製作:東映
飽くなき欲望、限りなき脅迫者と斗う若き建築技師と、彼に絡まる不気味な殺人事件。異常なまでのスリルとサスペンスで貫かれた本格的スリラー巨篇「点と線」の小林恒夫監督が会心のメガホンで描く。
鳥居工業社長の鳥居実造が、自殺を図った。一命を取り留めた鳥居は、一人娘の明子に自殺の動機を語る。彼は昔、経営不振の町工場を手に入れたのだが、その工場の経営者は車にはねられて死んだという。鳥居は腕利きの相棒と二人で工場を手に入れたのだが、経営者の死の謎は残されたままであった。相棒は鳥居から際限なく金を引き出し、しまいには全財産を賭けた遺言書を要求してきたのだ。その悪魔のような男は土木業を表看板に出し、近頃は大滝組に食い込んでいるということだけを、明子に打ち明けた。父の会社と関係があり、大滝組に出入りする男の名は島ということを突き止めた明子は、真相解明のために大滝組の現場に何度も訪れた。島と親しい九里という青年技師と知り合い、二人の関係を突き止めようと動き始めるのだった。九里は島の口ぞえで大滝組で働くことが出来、それゆえに島の傀儡として悪行に加担させられていたのだ。東洋ビル工事の下請け予算書を持ち出すよう島に命令された九里に、明子は自分の父のことを打ち明ける。九里もまた、島から逃れるためにある決心をする。ビルの屋上にで対峙する九里と島。九里は殺気に駆られて島を屋上から落とす。だがその直前に、島が「中条」という男の名前を口にし、恐れていたことが気になった。島の死を功名に隠した九里だったが、やがてその「中条」という男から、九里宛てに脅迫状が届く…。